10兆円ツッコんでみたけれど“住民ほぼゼロ”の明るい巨大廃墟、表向きは大盛況でも入ってみるとガラガラのアパレル卸市場、そして世界一高い未完成タワー……。中国の最新ゴーストタウン・雄安新区に足を踏み入れると、スゴすぎる光景が広がっていた!
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若年層失業率が過去最悪の21.3%
コロナで3年ぶりとなった中国への旅。マニア心をくすぐる“廃墟”見学を堪能しながら、中国経済の未来を考えてきた。
「現在、中国は初の経済危機に直面しているとも言われている」
ある研究会での中国人企業家の発言だ。これまでにも中国は経済危機が起きたことはあるし、足元の経済も良くはないとはいえ大騒ぎするようなレベルではないように思うが、中国国内でも悲観論が広がっていることのあらわれなのだろう。
確かにここ1~2年、中国で景気のいい話は聞かない。
中国を代表するIT企業のアリババグループに巨額の罰金が科されたり、「共同富裕」という濃厚な社会主義風味を感じさせる政治スローガンが登場したりと、政府は市場主義経済を締め付けようとしているのではないかなんて見方も広がった。その煽りを食って、ナスダック・ゴールデン・ドラゴン・チャイナ指数(米ナスダック市場に上場している中国企業の株価の指数)は2021年2月のピークから3分の1ほどにまで落ち込んでいる。
昨年からは新型コロナウイルスの流行に伴う都市封鎖連発による経済停滞、厳格なコロナ対策で地方政府の財政はすっからかんになり公務員の手当削減や路線バスの運行本数削減などという切ない話もあった。7月17日発表の経済統計では若年層(16~24歳)の失業率が21.3%と過去最悪を記録している。
とまあ、こんな具合にネガティブな話題がてんこもりなのだが、実際に中国を旅してみると、景気が悪いようには見えない。大手の百貨店やショッピングモールはテナントがぎっしり詰まっているし、買い物客も少なくない。レストランはどこも結構な人出だ。北京や上海といった大都市を見る限りでは、一見すると深刻な不景気に陥っているようには見えない。
不景気の傷は見えないところにある。中国政府の統計によると、中国四大都市(北京、上海、広州、深圳)の人口は27万5000人のマイナスとなった。統計史上初の異常事態だ。工場やお店などの雇用が減り、出稼ぎ労働者が地元に戻ったためだという。なるほど、大都市では失業者がたむろっているなど、わかりやすい不景気の光景にはでくわさないのには理由がある。