吉田 それ面白い。コロナ禍でここ数年はせっかく試合を観にきてくれたファンの方々にも直接ご挨拶することもできなくて。でも、そんな状況でも私たちのユニフォームを着てくれたり、タオルを広げて振ってくれたりするファンからたくさんパワーをいただいたので、今回のユニフォームも多くの方に着てもらえると嬉しいです。
鈴木 見つけたらアイスから「うわー!!!」て叫びながら全力で手を振るのでよろしくお願いします。
「私たちはもうベテランなんですよ」
――今季から国内外で2026年の五輪出場にかかわる試合が増えていきます。まず抱負を聞かせてください。
鈴木 抱負かあ。私たちはもうベテランなんですよ。
吉田 本当にそうだよね。グランドスラムに行けば同世代が多いけれどね。
鈴木 日本選手権をはじめ国内の大会では年下の選手やチームも増えて、ものすごいベテランなんです。身体的、環境的、すべてのことでいつ何があってキャリアが終わるかも分からないですし、今が当たり前じゃないと気づいてからいっときいっときを大切にしようという気持ちが強くなりました。
吉田 完全同意です。
鈴木 昨シーズンくらいからカナダ遠征に行っても、ぼんやりと「もしかするとこの街に来るのは最後かもしれないんだよな」とか思うんですよね。
吉田 それはすっごい思う。だからといって悲観的になるわけではなくて、カーリングすること自体をプライオリティにしたいとより強く感じるエネルギーになってくれている。いつ身体も気持ちも環境もピークが来るなんて誰も分からないので。
世界一になるのは「最大値を出し続けるチーム」
――昨季はグランドスラム初制覇(※10)など、いよいよ世界一に手がかかったのかな、という印象も受けました。ランキングも今季がはじまる時点で3位という過去最高に位置しています。
※10:昨季(今年1月)、アルバータ州カムローズで行われた「Co-op Canadian Open」でアジアのチームとして初めてグランドスラム制覇を達成した。後述するチーム・エイナーソンやチーム・トリンゾーニからも白星を挙げる全勝優勝だった。
鈴木 うーん、でもやっぱりグランドスラムで戦っていて、エイナーソン(※11)とかトリちゃん(※12)と試合するとやっぱ強いなあ、と思っちゃうんですよね。あれぐらい……。
※11:Kerri Einarson。昨季のカナダ代表。チーム・エイナーソンは世界ランキング1位で、カナダ選手権3連覇中のトップ・オブ・トップ。ロコ・ソラーレは昨年のPCCCなど何度か勝利しているものの、通算成績は負け越している。
※12:昨季のスイス代表のスキップSilvana Tirinzoniの鈴木的愛称。チーム・トリンゾーニはカナダ代表のエイナーソンらを退け、世界選手権4連覇中で同大会36連勝中という無双状態。ロコ・ソラーレは北京五輪の準決勝などで勝利しているが、やはり分が悪い相手のひとつ。
吉田 うん、コンスタントに。
鈴木 そう、いつどの瞬間でも「あいつら強いな」と思われるみたいな感じではまだ全然ないと自分たちでは思うんですよね。
――グランドスラムで勝つことでチーム・フジサワもそう思われている部分はないんですか?