吉田 自分たちでまだそう思えてないよね?
鈴木 うん。
吉田 数年前まではどれだけチームで高いパフォーマンスを出せた試合があっても「じゃあスラムで優勝できる力があるか?」と考えると難しいかなという感じでしたが、一つずつ課題をクリアしていくことを続け、7年の月日をかけ昨シーズン、やっとグランドスラムの優勝に辿り着きました。自分たちがやるべきことをやって、高いレベルでパフォーマンスをしっかり発揮できたら世界一を獲れる実力があることは分かった。ただ、その最大値を常に出し続けるチームがまだ私たちより上にいるなという感覚です。
「オリンピックへの執着」はなくなってきたような…
――出場できればチームとしては3度目になる、オリンピックに対してはどういう気持ちなのでしょうか?
鈴木 これは私個人の意見なんですけれど、2回出られたこともあって「オリンピックへの執着」みたいな気持ちはなくなってきたような気がしています。自分たちが成長して強くなった先にオリンピックがあればいいなみたいな感じで、オリンピックはもちろんすごく楽しい場所なんですけれど「どの舞台よりめちゃくちゃ特別!」というわけではなくなってきています。
吉田 表現が難しいんですけれど、夕湖の「執着がなくなってきている」ってすごくいい表現だなって思いました。オリンピック自体はとても楽しく幸福な場所なのに、オリンピックにとらわれすぎて、オリンピックがプレッシャーになり心が窮屈になったり、精神的に不安定になって本来の力を発揮しにくくなってしまうこともある。実際にそんな時期もありました。
鈴木 オリンピックも大切だけど、私にとってはグランドスラムも世界選手権も同じくらい大切なんですよね。
吉田 オリンピックがあるからギアを上げるというより、「よおし、今年も今できることをやるぞ!」という感じですかね。
鈴木 うん、いつ終わっても後悔がないようにやり切りたいという気持ちです。
世界選手権では「久しぶりにこんなに勝てないなー。なんでだろう」
――先ほど、今季への抱負を聞きそびれたのですが、最後に教えてください。シーズンスタート会見では複数の選手から「世界選手権での結果も内容も求めたものではなかった」といった談話もありました。
鈴木 こうやって話していて思ったのは、選手生命がいつ終わるか分からないと気づいた今、例えばこのままで終わると世界選手権のやり残しが……。
吉田 確かに「世界選手権久しぶりの準備不足!」という記憶のままキャリアが終わるのは嫌だ。