バナナのような形をした細長いおばけ。その皮を剥くと出てくるのは、なんと肩車をした3人の小さなお相撲さん。次のおばけの中からは電車、そしてホットドッグが! さらに丸いおばけの皮を剥くと……。お笑い芸人であり、漫画家、絵本作家でもある著者が描いた、設定も展開も意外だらけの絵本が大ヒット中だ。
「本書は絵本でありながらシニカル。でもだからこそ『なんで?』『どうして?』と子どもたちが考える余地があります。当初シュールすぎるのではと危惧していたお相撲さんは、意外にも子どもに大ウケ。また、ページの隅にちりばめられた、芸人さんらしい小ネタの数々も人気で、『もう一度読んで!』となるようです」(文響社編集部の畑北斗さん)
同社では、構成段階で社員の家族の小さな子ども十数人に読みきかせ、その反応を内容に生かすこともあるそうだ。こうして生まれた本の力に加え、書店の協力が売れ方を大きく変えた。
「都内の大手書店で、著者の大ファンという書店員さんがパネル展をしたり紙粘土でおばけを作ってくれたりと、熱狂的に本書を推してくれたんです。それがツイッターで広まると全国的に他の書店さんも応援してくれるようになり、一気に火が付きました」(畑さん)
続編の『しりながおばけ』(こちらにもお相撲さんが登場!)も好評で、本書の売上げを後押ししているそう。