著者はテレビ、雑誌など各種媒体で活躍している人気料理家。多数の著作もあるが、「旅」をテーマにしたエッセイ本を出すのはこれが初めて。50歳で一念発起して始めた「ひとり旅」の魅力を、平易な文章で率直に綴っている。実績のないジャンルへの挑戦だったが、口コミで評判を呼び、ヒット中だ。
「著者が以前お書きになった旅についての短い文章を読んで、50歳を目前に控えた人の戸惑いや、やりきれなさをリアリティのある形で描き、かつ気持ちよく読める内容に驚かされたんです。それで1冊分の書き下ろしをご依頼しました」(担当編集者の八木麻里さん)
読み物としてのおもしろさにくわえて、旅行ガイドとしての実用面もしっかりしている。行き先の決め方から、無理のないスケジュールの組み方、旅先でのトラブルへの備え方、交通手段やホテルの予約……。もともと旅慣れていたわけではない著者が手探りで見つけてきたノウハウが、惜しみなく盛り込まれている。
タイトルや装丁の印象から著者と同世代の女性に読者が偏るかと思いきや、若い読者や男性にもリーチしているという。
「男性のひとり旅というとバックパッカーのイメージが強かったり、旅慣れた方が多い印象があります。でも、必ずしもそうではなく、そこに潜在的なニーズがあったようです」(八木さん)