起業家で孫正義氏の弟でもある孫泰蔵氏が最先端の人工知能に触れて抱いた、新しい時代に必要な学びや生き方にまつわる疑問。その答えを数々の書物や思想に触れながら考えた本書が大ヒット中だ。
「著者がコミュニティー限定でSNSに公開していた文章から、テーマを絞り書籍化しました。ブログは大人向けでしたが、若い人にも読んでもらえるものにしたいと。著者がタイムスリップして荘子などの思想家と対話する構成にするなど、10代でも読みやすい工夫をしています」(担当編集者の中川ヒロミさん)
今までの教育のあり方や能力主義では、ChatGPTなどの人工知能には敵わない。これからは好きなことに夢中で取り組むこと、そして既存の価値観や常識を一度捨て去り、根本から問い直す「アンラーニング」が必要だと著者は説く。また、幼い時に自身が父から受けたユニークな教えにも触れており、それが著者の原点になっていることも伝わってくる。
「本書をきっかけに、好きなことをすべく海外に行くと決めた高校生や、ひきこもっていた息子が通信の学校に入ることになったという声も届いています。人間がやるべきことや、どう生きるかなど、根源的な問いが求められる時代において、一歩を踏み出すヒントをくれる本ではないかと思っています」(中川さん)