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 なお、91年はオウム真理教の麻原彰晃が地上波のバラエティ番組に次々と出演するなどして脚光を浴びた年でもある。オウム真理教はメディアへの露出を重ねながら、陰で武装化を進めていた。

「どう実証するの? これがひいては壺事件につながってるんですよ」

『ムーブ! 上岡龍太郎』では「幽霊を見てしまった50人」という企画を行った(93年8月5日)。上岡は水子の霊が見えると話す17歳の女性の話に対して激しく反応した。

「これまたテレビで流すのは非常に危険なんですよ! 水子の霊とか言うけど、水子なんてものは、どう実証するの? 水子っていうのは、どこから水子と言うんですか?(中略)水子地蔵を何年もやってるところも、誰しもが弱いところを(突いている)。これがひいては壺事件につながってるんですよ。

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 こういうものをテレビ局は徹底して追及せなならんのに、テレビはお先棒を担ぐんですよね、テレビのイカンところで。本来テレビというのは、あるものを正しく伝える(のが役割)ちゅうんやったら、ないものをあるかの如くやるのが一番罪だと思う」

 

「壺事件」とは、むろん統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の霊感商法のこと。高額な壺などを買わせる霊感商法は80年代以降、社会問題化していたが、92年8月に行われた統一教会の合同結婚式が広く報道されたことで、統一協会の霊感商法もクローズアップされていた。前述の『EXテレビ』でも統一協会の霊感商法について触れている。

 心霊現象に批判的な上岡の前で心霊現象は起こらないと主張する出演者には、真っ向から反論してみせた。

「僕らぐらい信じたいと思ってる者はないんですよ。信じたいからこそ、嘘を排除したいんです。真実だけ見つめたいんです。そのためには嘘を排除する。そのためには厳しい批判の目を注ぐ。それを乗り越えてこそ、超能力が真実だと言えるんです。だから反対する人の前で証明するのを科学と言うんです。(中略)地球が平らやと思ってる人の前でも丸いという証明はできなあかんのです。なんぼ天動説、地動説で争うても真実は一つなんです」

『探偵!ナイトスクープ』がふざけて除霊師をネタにしたのは、この番組が放送された直後のこと。上岡が激怒するのも当然である。

「空中浮遊できる人だから尊敬できる? 違うんですよ」

 オウム真理教が地下鉄サリン事件を起こした95年。『上岡龍太郎がズバリ!』の「霊能者VS怒っている人」(95年10月26日、11月2日)の冒頭で、上岡はオウム真理教に触れながら、ここでも自らのスタンスを繰り返し語っている。