「私は占い師そのものが嫌いというわけではなくて…」
その後、横山ノックらとの漫画トリオを経て、大阪でタレント、司会者として大成。90年代に入って東京へ進出し、全国的な知名度を得る。その頃、テレビで大ブームを巻き起こしていたのがオカルトだった。
霊能力者としてメディアに登場した宜保愛子が爆発的なブームとなり、特番は軒並み20%前後の高視聴率を記録。その他の心霊特番も数多く放送された。マジックであることを明言せず、超能力的な演出を施していたMr.マリックが人気を博していたのもこの頃である。
上岡がオカルト嫌いを鮮明に打ち出した企画に、『EXテレビ』「占いを告発する」(91年3月28日)がある。幅広い世代に親しまれている占いだが、占いを悪用した霊感商法(開運商法、霊視商法)は80年代から問題化していた。
番組冒頭、司会の上岡はまず自分のスタンスを述べる。このような自らのスタンスの表明は、後に続くさまざまな番組でも繰り返された。
「私は占い師そのものが嫌いというわけではなくて、つまり人を恫喝したり、脅迫まがいの言辞を弄して、人の弱みにつけこんで金儲けをする輩が社会的に許せないと、こういうことなんですね。
いわば確固たる根拠もなくて、『占いは当たる』と人心を惑わしてるインチキ占い師、それを消極的に肯定してしまっている一般の人々およびマスコミ。その結果、占い師の罠に嵌ってしまって、経済的あるいは精神的に打撃を受けている方のなんと世の中に多いことか!」
「人の弱みにつけこんで~」のくだりは、そのまま少年時代の上岡の体験と同じである。
続けて、『EXテレビ』では「激論!超常現象」という特集を組む(92年5月21日)。番組冒頭で上岡が語ったのは、オカルトを持て囃すテレビに対する疑念だった。
「最近のテレビを見てますと、本来ジャーナリズムは中立、あるいはそこに科学の目を入れたり、テレビの目を入れたならテレビ局の目で肯定否定すればいいのですが、まったく言うがままなすがまま、いわば超能力者の独壇場にテレビがなってしまっている」
上岡は、当時のオカルト関連番組のタイトルと視聴率を記したフリップを見せつつ、自らの立場をはっきり語っている。
「これ見てますと、ほとんどが肯定的なんですね。で、私としてはテレビ局がこない肯定的なんやったら、ひとつ完全否定派もおらんことには公平性が保てないではないか。だから僕はもう全部否定という面から立ち向かっていこうと思うてるんです」
上岡はもともとオカルト嫌いだったが、オカルトを無批判に流すメディアの状況を鑑みて、自分の立ち位置を決めていたことがわかる発言である。