現在開催されているサッカー女子W杯の取材のため、7月17日にオーストラリアへ入った。

 大会開幕以降は、興味のあるカードを追いかけ、オーストラリアとニュージーランドの各都市をへとへとになりながら毎日飛行機で移動しているのだが、自分なりの“しばり”をひとつだけ設けている。

なでしこジャパンはここまで2戦2勝でグループリーグ突破を決めた ©AFLO

 それは、『なでしこジャパン以外のゲームを見る』こと。

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 2011年の女子W杯制覇をきっかけに盛り上がった日本の女子サッカー人気は、その数年後から世界大会でのなでしこの成績が低迷し始めると、さっと潮が引くように消えてなくなった。そして今大会はとうとう、日本戦の中継局が開幕直前まで決まらない事態となってしまったのは記憶に新しいところだ。

 なぜ日本の女子サッカーは実力も人気もここまで落ち込んでしまったのか?

 その答えのようなものが得られるような気がして、今大会ではあえて日本以外の国の試合を見て回るという、へそ曲がりな取材を続けている。

日本の3戦目の相手は本来なら優勝候補?

 だから7月26日は、日本vs.コスタリカ戦が行われたニュージーランドのダニーデンではなく、スペインvs.ザンビア戦の会場となったオークランドのイーデン・パークにいた。日本がC組の第3戦で当たるスペインの様子を確認したかったからだ(当然ながら、日本人の記者は1人も見かけなかった)。

スペインのアイタナ・ボンマティ ©AFLO

 スペインは、ベストメンバーならばアメリカとともに優勝候補になる実力を持ったチームである。ところが昨年9月、ビルダ監督の指導方針に反発した15人が代表招集を辞退。今大会には大半が戻ってきたものの、センターバックのマピら守備陣の主力数人を欠いたままで臨んでいる。

 さらに2021年、2022年とバロンドールを連続受賞している現在世界最高の女子選手、プテジャスは昨年負った左膝前十字靭帯断裂の大けがから4月にようやく復帰したばかりで、まだ完調とは言えない状態だ。

 そんなスペインにあって、攻撃の牽引役になっているのがアイタナ・ボンマティである。