「行儀良くしているだけでは何も変わらない」
日本維新の会の馬場伸幸代表が、「共産党は日本からなくなったらいい政党だ」と発言して物議を醸している。自らと異質な存在を認めないかのようなこの発言は「維新の危うさの現れ」ではないか。この問いに維新の若きエース・藤田文武幹事長は、語気を強めて、冒頭のように反論した。
4月の統一地方選挙で躍進し、日本政治の台風の目となりつつある日本維新の会。その維新の会を42歳の若さで引っ張っているのが、当選2回の藤田幹事長だ。
藤田氏が何を考え、この国をどう変えようとしているのか。「文藝春秋 電子版」のオンライン番組「青山和弘の永田町未来café」は7月27日、そんな藤田氏の知られざる人物像に迫った。
「第二自民党」=帰ってきた小泉・竹中路線なのか
藤田氏は番組で、維新の目指す方向性について次のように語った。
「これまで野党は責任政党たりえてなかった。すべて批判に近いような形、イデオロギー対立でした。憲法、エネルギー、安全保障などで非現実的なイデオロギー対立が華々しく起こるんで、内政においてやらないといけない改革議論が進まない。我々は是々非々ですから。野党第一党を任せて頂ければ、新しい国会像を作りたい」
馬場代表は、共産党発言と同じインターネット番組「ABEMA的ニュースショー」の中で、日本維新の会を「第二自民党でいい」と述べている。この発言について、藤田氏は「イデオロギー対立のない責任政党同士が競争するという意味だ」と解説したが、「第二自民党」という表現は自民党との違いが乏しいことを肯定しているように取れる。筆者が質すと、藤田氏は次のように主張した。
「現状維持微修正が自民党の習性で、その極みが岸田総理だと思います。時代の転換期の政治ではない。一つはこの30年間、国民負担率はずっと増えているのに、いらない補助金や優遇税制をやめられない。それでどんどん財源が必要になって、みなさんの生活に手を突っ込んでお金を召し上げることが続いてきた。これをやめさせないといけない。民の力を生かして国民の負担を下げ、とことん成長させる」
そして「あらゆる業界の規制緩和を進める」と強調した藤田氏。しかし「規制緩和を進めて民間の競争に任せ、成長を促す」というのは、小泉純一郎元総理が竹中平蔵氏と組んで進めた「小泉構造改革」を想起させる。新自由主義的な小泉改革には「格差を拡大させた」という批判が付きまとうが、藤田氏はどう答えるのか。