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 特におばあちゃんの家は宝の山だったので、「なんか昭和のものないん!?」と聞いて、おばあちゃんが若い頃に使っていたものをもらっていました。

 あと、昭和のカルチャーに触れるために、角川映画を観るようにもなりましたね。映画の内容はもちろん、令和では見かけないものがたくさん写っていて面白いんですよ。

――具体的にはどんなものが?

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阪田 ハンドルを回さないと窓が開かない車とか、LEDじゃなくてネオン管の照明とか。あとピンクの公衆電話や黒電話も魅力的に見えましたね。

 

二股や浮気にも寛容な「昭和映画」の面白さに気づく

――たしかに、今ではほとんど見かけません。ほかに、昭和の映画で面白いと感じたことはありますか?

阪田 たくさんあります。たとえば、今の恋愛映画って視聴者に寄り添うものが多いじゃないですか。「共感」を大事にするというか。でも、昭和の映画はそうじゃない。「パンを食べて走って登校したら、運命の人とぶつかる」みたいな、ありえない展開で構成されているんです。

 たとえば、1984年に公開された「メイン・テーマ」という映画に、ホテルのバルコニーでヒロインに「好きです」と告白した瞬間、地上からたくさんの風船が舞い上がってくるシーンがあるんですよ。それを見たヒロインが感動するのですが、私は「いや、そんな状況ありえないでしょ!」と思っちゃって(笑)。でも、その「ありえなさ」がすごく好きなんです。映画だからこそ、現実だとありえないことも楽しめる。

 あとは映画を通して、今と昭和との価値観の違いに驚くことも多いですね。

 

――価値観の違いとは、たとえばどんなことでしょうか。

阪田 昭和の映画だと、二股や浮気に対して寛容ですよね。パートナーがいても他の人を口説いたり、誘いに乗ったり、浮気や不倫をされた方も「もう、しょうがないな」って軽く流すことが多い。私は昭和が好きだけど、その価値観はちょっと理解できなかった。

 一方、今の映画にもそういうシーンはありますが、大抵悲劇として描かれるじゃないですか。その違いが面白いですね。

――ちなみに、昭和の映画はどうやって観ているんですか。音楽をレコードで聴くなら、VHSとか?

阪田 U-NEXTやNetflixで観ています。そこは令和です(笑)。