借金の補填に「一時金」が使われるのでは、という疑念
もう一つ、見方を変えると、別の大きな問題も浮かび上がる。皇室経済法は第6条第7項で、皇族の身分を離れる者に国から一時金を渡すことが規定されている。その根拠は、「皇族であった者としての品位保持」のためである。それまで皇族であった者が結婚後の生活で品位を保持するために税金が支出される。眞子内親王の場合、1億数千万円が予定されていた。こうした支度金とも言えるお金の存在もまた、単なる両性の合意による結婚と、皇族の結婚は異なるのだという印象を与えるだろう。
そして、この一時金の支出が、今回の秋篠宮眞子内親王と小室圭さんの「結婚延期」にも大きく影響したと思われる。婚約内定後の週刊誌報道では、小室さんの家族の金銭問題が強調され、そうした借金の補填に一時金が使用されるのではないかという疑念も浮上した。だからこそ、二人の結婚に疑問を持つ人々が出てきたのではないだろうか。世論はこの問題が解決するまで、二人の結婚に厳しいかもしれない。
このように、今回の秋篠宮眞子内親王と小室圭さんの「結婚延期」には、皇族が国民とは異なる存在として扱われること、結婚に天皇の「裁可」=許可がいること、そしてそこに税金が投入されること、という3層に分かれた問題が存在していることがわかる。しかし、そのこと自体、皇族は自分たちの意思だけでは自由に結婚できない存在であり、私たち国民とは切り離された存在である、ということをさらけ出していることに他ならない。
そしてその問題の根幹には、憲法の精神と「象徴天皇制」はダブルスタンダードになりかねない、という危険性をはらんでいると言えるだろう。