解散ライブの日も東京ドームホテルに泊まったんですが、朝4時くらいまで寝られなくて、朝7時くらいに起こされてしまったので、睡眠時間は3時間ほどしかありませんでした。大きいライブの日は毎回そんな感じで、ベッドには夜9時くらいには入ってるんですがなかなか寝付けなくて、「もう諦めよう」と思った瞬間、寝れるという(笑)。
理想の終わり方で成し遂げた解散ライブ
――東京ドームライブの話も聞かせてください。実際に5万人の観衆の前に立って、どんなことを感じられましたか?
モモコ すごく緊張するだろうと思っていたんですが、会場の空気が"5万人の清掃員"という感じだったので、「これは5万人のライブハウスだ。今まで通りやればいいや」って思ったら、肩の荷が一気に降りて、楽しめました。
BiSH好きの人たち、清掃員としての自覚を持った人たちがたくさん集まって、"声の波動"が見えるくらい声を出してくれて、踊ってくれて。最後の最後まで本当にライブのグループだったなって思いました。
――とくによく覚えている光景はありますか?
モモコ アンコールで2度目の『BiSH-星が瞬く夜に-』を歌い終わって、センターステージからメインステージに帰る時に、メンバー全員で肩を組んで走ったんです。それはアドリブというか事前に決めていたことではなかったんですが、「こういう終わり方をしたい」という理想の終わり方でした。今まで、みんなでずっと肩を組んで走ってきたなって……。それはすごくよかったなと思いました。
BiSHはみんな弱いところもあるけど、すごく強いグループ
――その前にあった全員のMCで、モモコさんは涙を流しながら話をされました。
モモコ 最後の最後、東京ドームで何をしゃべるか、ということは何カ月も考えていました。ツアーのMCでもちゃんと考えて自分の言葉でしゃべるということを大切にしてきましたし。だから用意してきた言葉はもちろんあったんですが、それは捨てようと思って、その時の自分の言葉でしゃべったんです。
やっぱりBiSHのモモコグミカンパニーの最後の生の言葉は大切にしてあげたいなって。ステージで泣いたことはないんですけど、最後、モモコグミカンパニーは泣いちゃってカッコ悪くていいんじゃないかって。
――「私はカッコ悪くても弱くても、それでも強がってBiSHのモモコグミカンパニーとしてステージに立てたのは、あなたのおかげでした」という言葉が印象的でした。
モモコ それが全てかなって思います。BiSHは、みんな弱いところもあるけどすごく強いグループだと思っていて、その中で生きることは、私にとって結構大変だったんです。それで強がってステージに立ってきた印象なんです。だからそういう自分が一番言いたくないこと、一番本当のことを最後に言うんだと思って、言いました。
写真=深野未希/文藝春秋