文春オンライン

父が遺した「売れない実家」を相続…途方に暮れる50代男性に、国税OBの税理士が提案した「1つの対策」

『国税OBだけが知っている失敗しない相続』#2

2023/08/17

source : 文春新書

genre : ライフ, 社会

note

子供から切り出すタイミング

 子供から切り出す時は、親が元気なうちに話したほうがいい。親が弱ってくると余計に言い出しにくくなる。

 最近では、事業をしている親子が一緒に取引銀行に行った時、銀行に置いてある相続のパンフレットを見たり、親子でテレビを見ていて相続の話題が出たりしたことがきっかけとなり、対策を考えることも増えているという。

 生前対策は、頭では必要性を理解できても実行に移すことが案外難しいこともある。

ADVERTISEMENT

※写真はイメージです ©iStock.com

 とくに税対策は、将来の相続税を下げられることがなかなか実感できない。今100万円を払えば将来の相続税がそれ以上に下がると理解できても、100万円を払うことに躊躇してしまう。親にしろ子にしろ「お金がかからなければ何でもやります」という人は多いという。

税対策が広く普及しないわけ

 相続対策には「性差がある」と、片山敏彦税理士は興味深いことを言う。

「夫が亡くなって妻が遺された時、妻は自分から相続対策について相談に来ますが、逆に夫が遺された時は、相続に対して割と無頓着な傾向があり、子供のほうが心配するケースが多い。また男性は相続対策を前にした時、遺言状を書きさえすれば大丈夫と考えがちです。生前贈与を行う時、女性は娘婿や孫のことも考えますが、男性は子供のことだけを考える傾向もあります」

 税対策は効果が大変大きいにもかかわらず、広く普及していないのは、親は関心を持てず、税軽減の恩恵を受ける子供からは切り出しにくいという原因がある。加えて、1年後に税金が100万円減ると分かれば人は急いで着手するが、5年先、10年先に相続税が100万円減ると分かっても、先の話で想像が及ばず、着手が先送りされるという問題もある。

 まずは、現時点で相続税がどの程度かかるか計算してみるのもいいだろう。

父が遺した「売れない実家」を相続…途方に暮れる50代男性に、国税OBの税理士が提案した「1つの対策」

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春新書をフォロー

関連記事