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「かねてより大量殺人の願望を有していた」(検察側冒頭陳述)という対馬被告は事件当時、生活保護を受給し、川崎市内のアパートに一人暮らしをしていた。もともと大学を卒業後に就職を予定していたが、単位が取れず留年し中退。その後、派遣社員として仕事を転々とし、事件の半年前、無職となった。

 そうした暮らしの中で「男性の友人から見下され、女性から軽く扱われていると感じていた被告人は、幸せそうなカップルや、勝ち組の女性など、幸せそうな人たちを殺したいと思うようになった」(同前)という。

快速の方が“密室”の時間が長くなる

 事件前月、世田谷区内のゲーム販売店でソフトを盗もうとしてパッケージのビニールを破いたが、ケースの中にはソフトが入っておらず盗みに至らなかった。そして事件の日の朝、川崎市内のコンビニで飲み物を万引きし、さらに新宿のコンビニでビールを万引きする。さらに昼前、新宿の食料品店でベーコンを万引きしようとしたが、店員に見つかった。このときカッターを携帯していたことから新宿署で調べを受けることとなる。

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 そして18時以降、帰宅して、酒を飲んでいると激しい怒りが湧いてきた。

「食料品店の人を殺そうと思い、19時過ぎに、閉店時間を調べるが、閉店が20時と分かり、今から向かっても間に合わないと断念した」(同前)

 断念して終わりというわけにはいかなかった。怒りは消えていなかったからだ。

小田急線車内で乗客が刃物で切られた事件で、ホームを調べる警察官ら ©時事通信社

「食料品店へ怒りを向けられなければ、かねてより考えていた無差別殺人を実行しようと、包丁とハサミ、サラダ油を白いトートバッグに入れ、読売ランド前駅へ向かい、駅のコンビニでサラダ油を買った」(同前)という対馬被告は、駅から新宿行きの各駅停車に乗ったが、“快速の方が密室になる時間が長くなる”と、登戸駅で降り、快速急行新宿行きに乗り換え、事件を起こした。快速急行は登戸駅から下北沢駅まで9分間止まらない。