――ファンの存在もご自身の支えになっていたと。

赤井 私が初めて他団体の試合に出たとき、ブーイングが起きて、客席から「帰れ!」って言われたことがあるんです。当時は芸能界からプロレスデビューして間もない頃だったから、いろいろとバッシングされていた時期で。ただでさえ試合前から緊張していた私は、ブーイングを聞いた瞬間、「本当に帰ったろうかな」と思いました。

 そしたら私のファンが、ブーイングをした人に怒って、客席で喧嘩を始めたんですよ。DDTのファンは優しくておとなしい人が多いし、そもそも客席で喧嘩なんか滅多に起きないんですけど。

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 ファンのそんな姿を見たときに、「私がこの人たちを守ってあげなきゃ。守ってあげるためには、もっと強くならなきゃいけない」と思ったんです。ファンへの想いを強くした印象的な出来事でしたね。

 

デビュー当初に受けた数々のバッシングと嫌がらせ

――プロレスデビュー当初は、よくバッシングされていたのですか?

赤井 私が芸能界上がりというのもあって、いろいろと言われていました。試合会場で言われるだけでなく、SNSで批判的なDMが送られてきたりとか。プロレスファンにバッシングされるだけじゃなく、他団体の選手に嫌がらせされたこともあって。挨拶したら無視されたりとか。

 あとは、私が尊敬していた女子選手が、あるパーティーで撮った集合写真をSNSにアップしていて、私もその撮影にいたんですけど、私が写っている部分だけ切り取っていたんですよ。明らかに不自然に切り取ってあるから、すぐに気づいてしまって。好きな選手だったからショックでしたね。

――それはあからさまですね。

赤井 身近な人には「出る杭だから打たれるのはしょうがないよ」「注目されているうちが華だよ」とか言われたんですけど、そこまでされると、さすがにそうは捉えられませんでしたね。

 

――その時期に、プロレスが嫌になったりはしませんでしたか?

赤井 「私、何のためにプロレスをやっているんだろう」とは思いました。プロレス界、そしてDDTのことをもっと広めたいと思ってプロレスをやっていて、決して自分の名前を売りたいわけじゃないのに、なんで批判されたり、嫌がらせされなきゃいけないんだろうって。

 でも一方で、私のことを応援してくれている人もいたから「その人たちのためにも頑張ろう」と思ってモチベーションを維持していました。