「赤井英和の娘」という肩書きしか見ていない人も

――赤井さんの場合、実の父親が元プロボクサーで俳優の赤井英和さんというのもあって、「親の七光り」などの批判も受けていたそうですね。

赤井 プロレスデビュー当初の私のキャッチフレーズが「浪速のロッキー2世、赤井沙希」でしたから。最初は嫌だったけど「あだ名みたいなもの」と考えるようにしていたし、プロレスやDDTを知らない人にインパクトを残せるのなら、別にいいのかなと思っていました。

 でも実際に私が試合に出ると、その部分に対してめっちゃ熱くなる人もいて。「赤井英和の娘だから試合に出てる」と言われたときには、イラっとして「リング上で戦っているのは赤井英和じゃなくて、赤井沙希、私自身なんです」と言ったんです。そしたら「いや、対戦相手は赤井沙希じゃなくて、お前の裏にいる赤井英和と戦ってるんだ」とよく分からない反論をされました。しかも、そういうことを言う人に限って、あまりプロレスを見ない人だったりする。

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――「赤井英和の娘」という部分しか見てない人もいたということですね。

赤井 少し上の世代の人には刺さるんですよ、「赤井英和の娘」というのは。だから芸能をメインでやっていたときは、「私は『赤井英和の娘』という肩書きがないと、いる意味がないのかな」と思ったこともありました。

 でも、プロレスラーとしての私はそれを頼りにしていたわけでない。リング上で戦うのは自分自身だから、その肩書きは武器にならないし、意味がないと考えるようにしたんです。

 とはいえ「娘」というのはウソじゃないので、今はプロフィールの一部みたいに捉えています。周りの人やメディアにそう言われても、「どうぞ、ご自由に」って感じです。

 

 それにこの10年で、私の父親が赤井英和というのを知らないファンが増えてきたんですよ。最近ファンになってくれた人には、「沙希ちゃんのお父さん、赤井英和さんっていう人なんだ!」と後から驚かれます(笑)。

――ご自身の活躍で周囲の見方を覆していったのですね。10年間の選手生活の中で、一番印象深かったことはありますか?