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土砂崩れで死ぬケース

 8月中旬の午前7時半ごろ、北アルプスの白馬岳で大規模な土砂崩落が発生しました。現場は大雪渓上の葱平で、崩落の規模は長さ約200メートル、幅約50メートル。この崩落に登山者2人が巻き込まれて生き埋めとなり、 60代の男性が死亡し、50代の男性が重傷を負いました。

 負傷した男性によると、「ゴーっという飛行機のエンジンのような音が聞こえた直後、大きな岩と雪が混ざった雪崩が襲ってきた。逃げる途中、後ろから飛んできた石が頭に当たって倒れた」とのことです。この日の午前中、白馬岳周辺ではまとまった雨が観測されており、長野地方気象台は土砂災害などに注意するよう呼びかけていました。

・死なないためには?

 事故現場となった大雪渓周辺では、過去10年間で2度の土石流災害が起きていた。長雨や豪雨のあと、雪解けの時期などは土砂崩れの危険が高くなっているので、行動の可否を慎重に判断したい。土砂や岩が堆積している沢筋など、リスクの高そうな場所では、上方に注意しながら素早く通過すること。

道に迷って死ぬケース

 北海道札幌市の手稲山で1月中旬、登山をしていた40代男性から「道がわからなくなった。足がつって動けない」と、消防に救助要請が入りました。男性は前日から単独で入山しており、「ビバークの装備はある」と話していましたが、その後、携帯電話は通じなくなりました。通報を受けて、警察と消防は4日間にわたって捜索を行ないましたが発見できず、捜索は打ち切られました。

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 それからおよそ3ヶ月後の4月下旬、雪解けに伴い再捜索をしていた道警ヘリが、手稲山の標高約450メートル地点で、性別不明の遺体を発見しました。そばにはザックがあり、遺体の一部は白骨化していましたが、DNA型鑑定の結果、捜索していた男性と判明しました。 

・死なないためには?

 山では、地図や登山用地図アプリなどを使って現在地を確認しながら行動すれば、道に迷うリスクを低減できる。積雪で夏道が隠されているシーズンは、とくに慎重に現在地を確認する必要がある。

 

 また、スマートフォンで現在地の緯度経度を知る方法も覚えておき、救助要請時にはそれを伝えるようにする。

 

写真はイメージです ©AFLO

知っておきたい安全知識(1)心肺蘇生法

 登山中の病気やケガなどで心肺停止または呼吸停止に陥ってしまった場合、胸骨圧迫(心臓マッサージ)と人工呼吸を交互に繰り返す心肺蘇生を速やかに行なう必要がある。心肺蘇生を行なうことによって命が助かった例は数多くあるので、正しい知識と適切な処置の方法をしっかり身につけておきたい。心肺蘇生は、原則的に救助隊やAEDが到着するまで続けること。仲間やほかの登山者が近くにいるなら、交代しながら行なうといい。