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「遺体の後頭部に大きな傷」「腕や背中も引っかかれ…」60代女性がヒグマに襲われ死亡…アウトドアで遭遇する“危険な動物”たち

「遺体の後頭部に大きな傷」「腕や背中も引っかかれ…」60代女性がヒグマに襲われ死亡…アウトドアで遭遇する“危険な動物”たち

『これで死ぬ アウトドアに行く前に知っておきたい危険の事例集』より #2

2023/08/12
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サメに襲われて死ぬケース

 沖縄県の石垣島で10月下旬、旅行に来ていた30代の男女が、石垣市の浜辺にレンタカーを停めたまま行方不明になりました。1週間後、周辺を捜索していた警察官が、その浜に骨盤を含む右脚が流木といっしょに流れ着いているのを発見。右脚には食いちぎられたような跡がありました。さらにその翌日には、現場から約2.5キロメートル離れた浜辺に、うつ伏せに倒れている男性の遺体が見つかりました。死因は溺死とみられています。遺体に欠損はなく、左足にはシュノーケリング用のフィンが付いていました。警察は、女性は遊泳中にサメに襲われた可能性があるとみて、捜索を続行しましたが、その後、女性が見つかったという続報はありません。

・死なないためには?

 サメの目撃情報に注意し、サメが出没している海域では泳がないようにする。サメが活発に捕食活動をするのは夕方から明け方にかけて。この時間帯に海に入ることは避ける。また、サメは血の匂いに引き寄せられるので、女性は生理のときは海に入らないのが無難。ケガをしたときもすぐに海から上がろう。

知っておきたい安全知識(1)クマに襲われたら

 ある程度、離れた距離でクマと遭遇したときは、ゆっくりあとずさりしてその場を離れる。大声を上げたり、慌てて背中を見せて逃げ出したりしてはならない。至近距離で遭遇し、クマが突進してきた場合は、クマ撃退スプレーを使って対抗する。5メートルほどまでに迫ったときに、目と鼻、口を狙って一気にスプレーを噴射させよう。スプレーがなければ、地面にうつ伏せになり、両手を首の後ろで組む防御姿勢をとって攻撃をやり過ごすしかない。

知っておきたい安全知識(2)毒ヘビに嚙まれたら

 傷口をきれいな水で洗い流し、傷口を強くつまんで毒液を体外にしぼり出す。口で毒液を吸い出すのはNG。咬まれた箇所は腫れてくるが、冷やすと血流が悪くなり組織が壊死してしまうので、アイシングは行なわないこと。可能ならば、咬まれたヘビの写真を撮っておくといい。応急手当後は、なるべく早く医療機関で診断・治療を受ける。かつては、毒の巡りが早くなるので走ってはならないといわれていたが、今日では走ってでも医療機関に駆け込んだほうがいいとされる。手足の咬傷ならば、毒のまわりを遅らせるため、手拭いなどの幅広の布で傷口と心臓の間を軽く縛っておく。ただし10分に1回1分ほどは布をゆるめて血流を再開させること。

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知っておきたい安全知識(3)ハチに刺されたら

 ハチ毒は水に溶けやすい。刺されたら傷口を強くつまんで毒液を絞り出しながら、流水で洗い流す。ポイズンリムーバーを使うと、効率的に毒液を吸い出せる。その後、抗ヒスタミン剤を含んだステロイド軟膏をたっぷり塗っておく。濡れタオルなどで患部を冷やすと痛みが軽減する。嘔吐や呼吸困難、全身の蕁麻疹など、アナフィラキシー・ショックの症状が現れたら、一刻も早く病院で治療を受ける必要がある。症状の進行を一時的に緩和するアドレナリン自己注射キット「エピペン」を携行しているなら、それを注射する。ハチ毒に対するアレルギーの有無は医療機関で調べることができ、陽性の人にはエピペンを処方してもらえる。

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