「全裸の私は、健康で…とてもいい写真だった」
実際にその掲載誌(『週刊プレイボーイ』1968年9月24日号)を見ると、バストトップも見せていない、ソフトなものであった。金髪のウィッグをつけた黒柳は女優そのもので、舞台のワンシーンを思わせるドラマチックで、躍動感あふれるものとなっている。
黒柳がこのとき撮った写真のなかでも「最高の出来栄え」とのちに著書『トットひとり』で書いているのが、白いダチョウの羽根の扇子で胸をおおった彼女が飛び上がった写真だ。それは、スタッフたちが黒柳の両側から紫色と白色の羽根をたくさん飛ばしたところ、偶然、そのなかの1枚が彼女の下腹部から太ももの前に来た瞬間をとらえたものであった。
先述の著書では《ひらひらと舞う羽根の中に飛び上がってるほとんど全裸の私は、健康で、ちょっと、いかれてる感じで、いきいきとしていて、悲しそうでもあり、とてもいい写真だった》と振り返っている。
その2、赤塚不二夫との不思議な関係
『徹子の部屋』では昨年暮れにタモリがゲスト出演して、番組の終わりがけ、黒柳から「来年はどうなりますかね」と訊かれてタモリが「新しい戦前になるんじゃないですかね」と答え、その解釈をめぐりちょっとした議論が起きたことが記憶に新しい。
タモリと黒柳といえば、タモリがまだ福岡から上京したばかりの頃、その芸を認めたマンガ家・赤塚不二夫の強い後押しで初めて出演したテレビ番組を、黒柳が偶然目にし、すぐに赤塚に電話して「あの人は誰!?」と訊ねたという話が語り草となっている。
黒柳は赤塚とかつてNET(現・テレビ朝日)の『まんが海賊クイズ』という番組で共演しており、スタッフぐるみで遊ぶ仲となって以来、番組が終わってからもときどき連絡を取っては食事したりしていた。もっとも、赤塚のほうは黒柳に友情以上の思いを寄せていたふしがあるという。黒柳は『文藝春秋』2011年3月号への寄稿で、こんなエピソードを明かしている。
何の前触れもなく「来ちゃった」
あるとき、黒柳が大阪の劇場で公演中、赤塚が何の前触れもなしに「来ちゃった……」と楽屋に訪ねてきたことがあった。その第一声に黒柳はちょっと重いものを感じてしまう。