このマンションはタワマンではない低層マンションだが、非常に防犯性が高く、各フロア2住戸に1台のエレベーターが設置されている。所謂2戸1EVと呼ばれる方式は珍しいものではないが、エレベーターには向かい合わせに2つ扉があり、各住戸ごとに独立したエレベーターホールがある。つまりエレベーター待ちで他の住戸の住民と一緒になることがない。地下の駐車スペースからホールを経てそのまま住戸にアクセスできるのが売りである。
またコンシェルジュやドアマン、ポーターなど人的サービスはてんこ盛りだ。まるで高級ホテルに滞在するかのごときサービスがついてくる。
この日本最高値ともいえるマンションを上回ったのが21年4月に分譲されたマーク表参道ONEというマンションだ。Falcon ホールディングスという特定目的会社(SPC)が売主で、公に広く売り出されたわけではないが、最高価格の住戸は面積626.93㎡(189坪)で67億6000万円、坪当たり3500万円だ。
今年オープンする日本最高層マンションの最高価格は…
さて今年はさらにこの記録を塗り替える可能性が出てきた。森ビルが事業主で今年建物竣工、オープンを迎える虎ノ門・麻布台プロジェクトでお目見えするアマンレジデンス東京である。
超高級ホテルの代名詞ともいえるアマンによる各種サービスがつく超高級ブランデッドマンション。64階建ての建物は出来上がれば高さ330mと日本最高層の建物となるが、54階から64階に91戸のマンションが誕生する。販売にあたっては価格などの情報は公開されておらず、相対での販売になるとのことだが、最高価格が1500㎡(453坪)で2億ドル(280億円から300億円)と噂されている。
この物件についてはよくメディアからの取材を受けるのだが、一番多い質問が「誰が買うのか?」である。森ビルに聞いてくれ、としか言いようがないのだが、巷ではソフトバンクの孫さんやサイバーエージェントの藤田さんなどの名前は上がるが、実際はどうかわからない、金持ち=彼らくらいの感覚で噂の俎上に載っているものとみられる。実際には外国人富裕層や外資系法人、IT系の起業家、などが想定されるだろう。海外でもそんなに高いマンションはあるのかとも問われるが、ニューヨークやモナコなどでは戸当たり300億円から500億円のマンションは存在する。それにしてもかなり高い水準であることは間違いない。
この物件の去就はともかく、時代は新たな高みを目指しているようだ。以前は超高級マンションといえば、いわゆる「億ション」だった。ところが今や億ションは普通のマンションに成り下がっている。業界では超高級マンションといえば最近では「4億ション」というらしい。