ジミー・サヴィル事件を上回る「人類史上最悪の性虐待」
吉次さんの友人の松﨑基泰さん(79)も小学生の頃に性被害を受けたという。
こうしてみるとジャニー喜多川氏はジャニーズ事務所を設立する前から性加害を繰り返していた確信犯といえる加害者で、冒頭での石丸さんの「人類史上最悪の性虐待」という言葉も説得力をもって感じられる。
「報道特集」では、「人類史上最悪」の性虐待事件とされる英国のジミー・サヴィル氏(享年84)の事件を紹介している。長年BBCの子ども向け番組の司会者を務め、ナイトの爵位も贈られた著名人だが、死後にBBCのライバル局が性加害疑惑を報道した。被害者は8歳から70代の男女でレイプ被害も多かった。当初はBBCで報道しようとしたが、局の幹部が放送をストップさせた。サヴィル氏は当時のサッチャー首相やチャールズ皇太子とも近い「権力者」だったことが事態の発覚を遅らせていた。
その後、警察は全英各地の450人から証言を得て捜査を行い、34件のレイプ被害を含む214件がサヴィル氏による犯罪と記録された。
冒頭に紹介した記者会見で、石丸さんはこのジミー・サヴィル事件を上回る「人類史上最悪」が、ジャニー喜多川氏による性虐待事件だと強い言葉で強調したのだ。
事務所に求められる今後の対応
今回、国連の専門家たちが認めたことで、ジャニー喜多川氏とジミー・サヴィル氏のどちらが「人類史上最悪」なのかは置いておくにせよ、どちらも数多くの被害者を出した悪質な性加害事件として国際的に認知されたものになった。日本で起きた事件を私たちはどう扱っていくべきか。
ジャニー喜多川氏の名前をそのまま残すようなかたちで事務所の名前を存続させることに世間が強く反発することは必至だろうし、国際的にも通用しない。
さらに被害者への金銭的な補償の問題を今後どうしていくのか。石丸さんや二本樹さんのように現在も深刻なトラウマを抱える人や満足に働くことができない人に対する補償をどうするのか。公害などで深刻な健康被害を起こした原因企業のように今後は金銭補償を進めていくのか。資金をどう確保するのか、これから問われることになっていく。
前例のない大規模な性加害事件をジャニーズ事務所が乗り越えて今後も活動していくためには、表面的な対応策で終わらせてはいけない。被害者に対する経済的な補償も含めて、先手を打って改革の姿勢を誠実に見せていってほしい。