“40年前のトラウマがいまも影響を与え続ける”性加害の破壊力
「報道特集」によると今年に入って元ジャニーズJr.らの性虐待の被害告発が相次いだことで、自分の被害体験が鮮明に甦り、次第にトラウマに苦しめられるようになったのだという。
「洗脳が解けて、被害の感触が一気に思い出されてきて、テレビを消して電気を消すと、足先から触られている感触がする。ゾワゾワと。病院の先生に話したら、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と言われた」(石丸志門さん)
石丸さんは男性の性被害者を主に診ているカウンセラーのもとを訪ねた。日本ではまだ数少ないそうした人たちを診てきた心理カウンセラーの山口修喜さんは、石丸さんの状態についてこう語る。
「40年前のトラウマの記憶がいま蓋が開いてわっと出てきている。そこまでの影響を人に与え続けるのが性加害の破壊力」(心理カウンセラー・山口修喜さん)
「報道特集」では、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の発起人を務めた二本樹顕理(にほんぎ・あきまさ)さん(39)の自宅も訪ねている。男児が誕生したところで、息子にミルクを飲ませるシーンもさりげなく出てくる。彼も13歳の時に性被害に遭ったが、そのトラウマにいまも苦しめられるという。
「幻聴が聞こえて『お前は生きる価値のない人間なんだ』とか『お前なんて存在してもしょうがないんだ』とか、そういう強迫観念がずっとあって……」(二本樹顕理さん)
「国際的な評価がジャニーズ事務所に対して下った」
国連の専門家たちは8月4日の記者会見で「実行犯に対する透明な捜査を確保し、謝罪であれ金銭的な補償であれ、被害者の実効的救済を確保すること」が必要だとし、その主な義務を担う主体は政府だと強調している。
この「金銭的な補償」についてメディアはあまり大きく報道してはいない。
8月4日の「当事者の会」の記者会見でも、二本樹顕理さんは以下のように話している。
「本当に国際的な評価がジャニーズ事務所に対して下ったと感じています。(今後)私たち被害者に対してどのような対応をしてくれるのかといったところにも注視していきたい」(二本樹顕理さん)
この「報道特集」では、ジャニー喜多川氏による性加害がおよそ70年前からあったことを裏づける証言を80歳近い男性たちから実名と顔出しで得ている。
作曲家として有名な服部良一氏の次男の服部吉次さん(78)。ジャニー氏と服部家の家族ぐるみのつき合いの中で性被害を受けていたという。
服部良一氏が死去した際の葬儀を機にジャニー氏が吉次さんの息子(当時は小学生)を狙って2人きりになろうと狙っていたのを母親の機転で阻止したエピソードも紹介された。