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投手と打者の勝負が楽しめた決勝戦

 この試合で光ったのは、日本が誇る投手陣でした。先発の今永昇太から始まり、戸郷翔征、高橋宏斗、伊藤大海、大勢、ダルビッシュ、翔平とつなぎ、ソロホームラン2本による2失点に抑えました。

 最後は大谷翔平がマウンドに上がり、併殺で2アウト走者なしで、マイク・トラウトと最後の勝負を繰り広げました。

 栗山監督と吉井コーチ、厚澤コーチの間では当然、継投策のプランが共有されていたのでしょうが、僕をはじめ、他のコーチは最後を翔平で締めるというプランは明かされていませんでした。

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 でも、みんな僕と同じように「最後は翔平で終わるんだな」と思いながら試合を進めていたと思います。

 僕としては、最後に勝利の守りでセンターに牧原に行ってもらえて、せめてもの恩返しができたと思いました。前の試合では、びっくりさせて困らせるだけになってしまっていましたが、最後の最後で世界一決定の守備に就いてもらうことができました。 

 もちろん、活躍の濃淡はいろいろありましたが、それぞれが自分の力を出すことで、みんなで勝ち取った世界一だったのは間違いありません。

©文藝春秋

戦いの終わりと素晴らしい時間

 3大会ぶり3回目の世界一に返り咲き、表彰式で金メダルをいただきました。優勝トロフィーも持たせてもらいました。栗山監督を胴上げすることもできました。

 内野の選手たちと写真を撮ったりして、幸せな時間を過ごしました。

 シャンパンファイトでは監督やコーチ、選手たちみんなで喜びを爆発させました。この瞬間のために厳しい戦いをやり遂げたのだと思えるひとときでした。

 なんだかんだでグラウンドを出たのは深夜の2時くらいだったでしょうか。ホテルに戻ると日本のメディア向けの会見があり、全部終わったのが4時くらい。

 それで数時間後の朝7時半にはホテル出発で帰らなくてはならない。僕は、荷物をまとめた後、寝ないで時間調整をしました。

 7時半にバスに乗ったとき、ダルビッシュが見送りに来てくれました。もう解散したので寝てていいのに。きっと彼にとっても侍ジャパンの仲間との時間は充実した、大切なものになったんだと思います。

 チャーター機で日本に戻りました。15時間くらいかかったでしょうか。成田で会見があって、ようやく長い長い一日が終わりました。といっても、栗山監督と選手たちはそのあと首相官邸を訪問しましたので、まだ終わらなかったのですが。