侍ジャパンの投手たち
戦いを振り返ると、担当の内野手たち、担当外の選手たちとの交流も楽しい思い出です。年齢的には離れていますが、一緒に戦った仲間という意識はあります。
翔平は気心知れた仲だとフランクに冗談を言い合うような気さくな選手です。ご存じのとおり、翔平はすごい体をしているので、「すげえな」みたいな感じで体を触ったりしていたら、逆に僕のことをバカにして「なんですかこの筋肉」と触ってくる。
ナゴヤドームのベンチではそんなことをしてました。
決勝戦が終わって、「ありがとうね」と話をしていると、「城石さんには二度と会うことないと思うけど」なんて言う(笑)。ふざけてるんですけど、面白くて嫌みがないから、つい笑っちゃうんです。ちなみに、これは白井コーチも言われたそうです。これもファイターズで一緒にやっていたからなのだと思います。
そうかと思うと真面目な顔で、バッティングの話もしてくれます。日本にいたときからすごかったのですが、さらに輪を掛けて進化しています。
翔平のすごさは、なりたい自分とか、やりたい打ち方というのを掲げたら、そのために必要なフィジカルとかトレーニングを逆算して、地道に近づけていく努力をするんです。それで、今やっとできる体になったので、この打ち方をやっていますと。
とにかく、意識の持ち方が普通ではないです。
ダルビッシュとはあいさつ程度の面識しかなかったのですが、今回侍ジャパンで投内連係の練習を通じてコミュニケーションを取るようになりました。年下のピッチャーたちに自分の持っている引き出しを惜しげもなくさらして、良くなるようにと教えているのも目にしました。
日本の野球にも興味を持って取り組んでくれて、というよりとても勉強熱心で、「城石さんは、本とかで勉強するんですか」なんて聞かれたりもしました。読書家なんだろうなと思いました。
宮崎合宿のサウナで一緒になってから山本由伸とも話をするようになりました。独特の鈍感力があって、肝っ玉が据わっています。さすが日本を代表する大投手です。
「WBCって盛り上がりますかねえ」「アメリカ行ったらWBC盛り上がってるんですかねえ」みたいなことを聞いてきます。
「そりゃ盛り上がるだろうよ」と答えましたが、「そうですかねえ」とピンとこないようでした(笑)。