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 もう一つの代表作『ハケンの品格』は2020年、第1作から13年ぶりに第2シリーズが放送された。同作の脚本家・中園ミホとの放送前の対談では、中園が《13年前は派遣社員の敵は正社員や会社組織でしたけど、いまはAIかもしれないんですよね。(中略)でも大前春子ならAIに恋したりして。「自分より完璧だ!」とか》と話を振ると、篠原も《それはありえそう。私、大前春子には全然恋愛のイメージがないんですよね。キスはされても自分からしている絵は浮かばない! 右手と右足が一緒、みたいなことになっていそうで。「あれ、私としたことが」みたいな》と返している(『AERA』2020年4月27日号)。このように打てば響くように想像を膨らませられる直感力こそ、俳優・篠原涼子の真骨頂なのだろう。

(左から)篠原涼子、森進一 ©文藝春秋

篠原涼子が「求め続けている夢」

 しかし、彼女が「根本的に求め続けている夢」はやはり歌だという。2019年のインタビューでは次のように語っていた。

《歌はやっぱり好きだし、アーティストとして、まだやり切れていないという思いがあるんです。もちろん演技も好きですけれど、もともと好きだった歌は、主体的に自分のパワーを見せられる。スタイリング、シチュエーション、パフォーマンスまでスタイルを貫けるアーティストの生き方にも憧れがあるんです》(『CREA』2019年12月号)

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 ただし、続けて《でも、これからについては、あまり決めつけたくないんです。決めてしまうと囚われの身になってしまうようで》と付け加えてもいる。将来について決めつけたくないのは、これまで自分の本意ではない仕事も、葛藤しながらも続けるうちに成果を出し、活動の範囲を広げてきたがゆえなのだろう。それでも、歌手として復活した篠原の今後の展開も気になるところだ。