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――日本人って、よくロジカルシンキングが苦手だと言われるじゃないですか。そんな国民性が、ディベートを苦手にしている面もありませんか?

呂布 日本人はどっちかというと、我を通すよりも、相手が何を言おうとしているのかを先読みして、慮って気を遣うじゃないですか。だから、そもそも多民族国家の欧米と比べて、ディベートをする必要がなかったと思うんです。

 むしろ相手の言外にある意思を汲み取るという、一段レベルの高いことを本当はやっている。それはたぶん、外国人にはできないんじゃないかなと思います。

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 ただ、近い将来に同時翻訳の技術が進歩したりすると、自己主張の強い外国人たちとのコミュニケーションや交渉事も避けて通れない。そういうときに、結構不利になる気がしますね。

©松本輝一/文藝春秋

――ちなみに呂布さんの本業であるラップとディベートに関連性はありますか?

呂布 相手が言ったことを拾って、言葉で返す、言葉で戦うということぐらいですかね。ラップはもともと論破するというよりも、音に乗ったり、自分のスタイルを打ち出したり、もっといろんな要素が絡み合うので、ディベートよりも遥かに難しいものだと思います。

「NHKを出禁」になりかけたけど…

――最後に1つお聞きしたいのですが、2022年に放映されたACジャパンの「寛容ラップ」がすごく話題になったじゃないですか。あれはどういうきっかけで生まれたんですか?

呂布 まず自分がACに出るって、面白いじゃないですか。それだけで依頼されたときは、すぐ飛びつきました。寛容ラップって聞くと、ディスやビーフの激しいラップと“かけ離れたもの”に思われがちですけど、実はそうじゃないんですよね。

 むしろヒップホップって本来寛容なものなので。それこそラッパーの人種も年齢も職業も、ときには犯罪歴も一切問わないものじゃないですか。MCバトルも根はディベートと一緒で、相手のことを認めつつ、お前のスタイルよりも俺のほうが秀でているということを証明する言葉のゲームです。

 あとACのCMに出たことで、世間から「お墨付き」をもらえたのか、わりと以前よりも信用されやすくなった気がします。

――こういう言い方をするとアレですけども、ラッパーの中には素行が悪い人たちもいるわけじゃないですか。

呂布 僕も一時期、マスコミの人から「仕事を振っても大丈夫な人なんだろうか……」と思われていた気がします。実はNHKとも昔、一度だけ揉めてしまったんですよ。

――えっ!

©松本輝一/文藝春秋

呂布 もう二度と呼ばれないだろうなと思っていたんですけど、寛容ラップがヒットした後、揉めた番組の関係者から「最近、頑張っているねぇ」とメールが届きました。それがきっかけではありませんが、その後、またNHKで仕事する機会をいただけたので、やっと許された!と思いましたね。

――出禁が解けた(笑)。いつか呂布さんが紅白の審査員をする姿も見てみたいです。

呂布 あったら、面白いですね。

2023年上半期「男性著名人部門」BEST5 結果一覧

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4位:“最後の銀幕スター”小林旭が語った石原裕次郎「もう時効だから言ってしまうけど…」
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