周囲との年齢差が大きいのも大きなストレスになります。芸能事務所でも一般の企業でも、自分の直属の管理職というのは同じくらいの年齢層ですが、アイドルの場合は本人が若いぶんギャップが大きく、ふつうのビジネスマン以上に上司や関係者との人間関係構築が難しいのです。
とにかく一般社会との違いをあげだしたらきりがないほど、アイドルたちは過酷な環境にさらされています。しかも当人たちはほとんどが十代で、なかには小学生の子だっている。そんな人生経験の少ない子たちが、大人でも音をあげるような厳しいノルマを課されるのですから、その苦労たるや並大抵のものではありません。
それでも私に与えられた役どころは“鬼コーチ”なので、彼女たちを容赦なく追い込んでいかなければならない。とくに小中学生の子は、人生において本気で頑張った経験が少ないから、底力の出し方を教えるためにもよりスパルタで指導しなければならない。みんな涙で目をはらしながら練習していて、本当にかわいそうになります。
だからこそ、私にはよくわかります。
彼女たちは本当にすごい──。
「アイドルほど勉強になる、お手本はないと思っています」
叱られて、めそめそ泣いても、最後はちゃんと力を出してくる。最初はただのミーハー気分で入ってきた子でも、しだいに意識が変わってきて自己が確立されていく。課題をひとつクリアするごとに自信をつけて、前向きに頑張れるようになる。そうしてだんだんエースの顔になっていく──。
私は彼女たちに最大限の敬意を払いたいと感じています。
たった十数年しか生きていないのに、大人顔負けの努力でエースへの階段を上っていく彼女たちは、十分尊敬に値するし、そこから学ぶべきこともたくさんあると思います。
だからこそ私は今回、彼女たちの話を通して、「成長し、成功するための考え方や習慣」をお伝えしようと思ったわけであり、これほど私たちにとって勉強になるお手本はないと思っています。
読者のみなさんも、どうか「アイドルなんて……」と過小評価しないでほしい。成長過程の女の子たちには、たしかに未熟なところもたくさんありますが、だからこそ、彼女たちの姿は見本となり、私たちの励みになり、さまざまな気づきをもたらしてくれるのだと思います。