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万引きのしわ寄せは「消費者」におよぶ

――ほかにお店側ができる努力はあるのでしょうか?

伊東 万引きが横行する店と、そうでない店には雲泥の差があります。万引きされない店は活気があって、声かけが盛んです。また商品のレイアウトも非常に重要です。商品がキレイに整理整頓されている店と、そうでない店があったとしたら、後者のほうが確実に万引きは多いですね。

 最近は目立たせるために、商品を天井まで積み上げるような店もあるじゃないですか。そうすると死角ができるため、万引きしやすい状況が生まれるわけです。しかも、最終的に万引きによる被害を被るのは、お店じゃなくて消費者なんですよ。

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――どういう意味ですか?

伊東 統計からお店が万引きによって、損する額というのはある程度算出できます。その分が、商品に上乗せされるんですよ。本来300円で買えるはずのマグロが、万引きのせいで400円払わなければいけないかもしれない。

――逆にこれまで見てきたお店のなかで、万引き対策の上手なお店はありますか?

伊東 秋葉原のフィギュアを扱うお店なんか、高額で商品も持ち運びやすいから、一見万引きも多く見えるでしょう? でも、以前テレビの企画で10日間見張ったことがあるんですが、万引き犯が1人も出てこなかったんです。

 疑問に思っていたら、店員さんの店や商品に対する「愛」がハンパじゃないんですよ。お客が少しでも商品を乱暴に扱ったら、即注意する。それが効いているんじゃないかな。

「愛が店を守る」(©山元茂樹/文藝春秋)

――「声かけ」ですね。

伊東 そうなんです。結局そういう店舗愛、商品愛というのが一番有効なんじゃないかと。お店や商品を守るという気持ちがあれば、自然とそういう行動が出てくる。声かけすれば、お客さんが困っていることや、本当に望んでいることもわかるかもしれませんからね。もし万引きを減らしたいんだったら、高額な防犯グッズを揃えるよりも、まずは声かけを徹底するほうが先です。