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「すぐに辞めるのに」と思いながら新人研修に参加

「研修期間はおよそ2週間。4月の入社式からマナー講座、自動車研修、各部署への挨拶まわりなどで、あっという間に時間が経ちました」

 困ったのは社員との関係だ。2週間後に辞めると決めていただけに、常に後ろめたさがあったという。

「研修中には社長との会食もあったんですが、私は5回ほどインターンに参加していたので『あなたは絶対に来てくれると思ってました、うれしいです』と言われて気まずかったですね。5人ほどいた同期入社の人たちともそれなりに仲良くなってしまい、内心では『すぐ辞めるのに申し訳ないな』と思いながら付き合っていました」

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 東京にいた時のように、地元でも繁華街に繰り出して飲み明かしたりもしてみたが、考えが変わることはなかった。

「どのお店に行っても知り合いと鉢合わせしてしまうことが多くて。わたしは『色々な人と出会いたい』という思いが強いんだなということを再認識しました。地元にいてもやりたいことが達成できないんじゃないかという不安に駆られるばかりで、やっぱり合ってないのかなと。

 研修の最終日は打ち上げをすると言われていたので、気まずさから病欠しました。すると、同期全員から純粋に心配をする『体調は大丈夫?』というLINEが届いたりして罪悪感がさらに募りましたね」

「デリヘルで働いていた」と告げてクビ扱いに

 研修が終わった翌日は出勤日だったが、休みを取ったうえで人事部に行き辞表を提出した。当然のように理由を聞かれたが、本当の事情は言えなかった。

「最初は『一身上の都合』で押し通そうとしたんですが、さすがに納得してもらえず問い質されて。仕方なく最後には、『実は研修期間中、副業としてデリヘルで働いていた』という嘘をでっちあげました。ここまで言わないと納得してもらえないと思ったんです。会社は副業禁止だったので、それでほぼクビ扱いになりました」

 “スピード退社”について地元や会社の人たちにどう思われているかは、「全く気にならない」という藤谷さん。退社から1年経った現在、藤谷さんは東京で忙しく働く日々を送っている。