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「偏差値50から京大」も環境次第では可能性がある

 私は九州の福岡県出身です。

 福岡には、市内だけでも偏差値70レベルの公立高校が、3つもあります。

 そのような学校には多くの優秀な生徒が通っていますが、彼らの多くは、東大ではなく「九州大学に行きたい」と言っていました。

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 一方で、京都で私が予備校をやっていたときは、偏差値50の生徒でも「京大へ行きたい」と目標を立てるようになります。

 というのも、京都在住の高校生にとっては、京都大学もただの地元の国立大学という扱いだからなのです。京都に住んでいれば、京大生も身近にたくさんいます。なので、彼らは、京大生を「絶対に手が届かない存在」だと思っていないのです。

 しかし、九州の高校生は、東大や京大の人に会う機会がほぼありません。だから「とんでもなく学力がある人が進学している」と自分の頭の中で勝手に思い込んでしまう。

 しまいには、東大、京大に入学する人たちと自分には、「越えられない差」が存在している、と思い込み、目標にすること自体をやめてしまうのです。

 つまり、周囲の環境によって、人は自分の限界を勝手に決めてしまう。

 そうなってしまうと、勉強の効果を最大化することが難しくなってしまいます。そうならないためにも、環境はとても大切です。

©AFLO

 京都の予備校では、実際に偏差値50から京大に合格できた生徒もいました。

 その生徒は京都の進学校である、京都教育大付属高校に通っていました。付属高校ですが内部進学があるわけではないので、その学校の生徒は、みんな大学受験をします。

 彼は京大に行くことを「非現実的なこと」だと思っていませんでした。というのも、彼の周りには「京大へ行く」と言っている友人も、実際に京大へ進学した先輩も普通にいたからです。

 京都の進学校では「普通に授業を聞いて、予習と復習をして、プラスアルファで少し勉強をがんばれば、京大に合格できる」という認識があります。

 彼の強みは「どう勉強すれば京大に行けるのか」を具体的にイメージできていたところにありました。

天才経営者もエリート社員も、みんな「普通の人」

 私が中学生だったとき、柔道の金メダリストが講演に来たことがありました。

 私は、その日、非常にドキドキしていました。というのも、オリンピックで金メダルを取る人なんて、雲の上にいるものすごい人のような気がしていたからです。