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「歩夢くんは同じ1月31日の夜にさらに虐待を受けていました。やはり石井の指示で、知香が樽状の雨水タンクに歩夢くんを閉じ込めて蓋をすると、丹羽は『よく入れたじゃん』と言って、それを横倒しにし、転がしたそうです。さらに丹羽と知香が外側から叩いていたと。樽はプラスティック製の黒色。歩夢くんは、真っ暗な閉所に閉じ込められたのです」(前出・記者)

DIYで作成した猫用のケージに監禁

 同年3月、石井に命じられ、知香が歩夢くんの足を持って逆さ吊りにしたこともあった。だが、4歳になっていた歩夢くんの体を、華奢な知香が一人で持ち上げるのは無理がある。そこで石井と知香が片足ずつ持ち上げ、歩夢くんを振り回したという。

 5月には、歩夢くんが勉強をしていなかったとして、同じ逆さ吊りの虐待を丹羽が実行。石井は知香の“躾”に生ぬるさを感じると、「そろそろ真打ちかな」と言って、知香より遥かに力の強い丹羽を登場させていた。歩夢くんは身長117センチ、体重は約20キロ。対して丹羽は、上背こそないものの、高校時代にラグビーで花園に出場した経験もあるガッチリとした筋肉質の男。歩夢くんが感じた恐怖は計り知れない。

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 挙句にその日は、丹羽がDIYで作成した猫用のケージに歩夢くんを押し込んで監禁したまま、大人3人で買い物に出かけている。歩夢くんが人間扱いされなかった時間は、約2時間40分に及んだ。

柿本被告と歩夢くん(柿本のフェイスブックより)

相撲の練習が一方的に痛めつける体罰へと変化

 自称元保育士の石井は、躾とは名ばかりの虐待を、こう言って正当化した。

「石井さんから『知香ちゃん、小学校行ったら残酷なんだからね。しっかりしないとね』と言われました。男の子だから結構ひどいというか、イジメられると大変だよと」(8月29日・知香の被告人質問より)

 常態化した虐待は、さらにエスカレートしていく。石井は柿本母子に“相撲”を取らせていたという。きっかけは、歩夢くんが保育園で相撲をし、負けてしまったこと。悔しがっていた歩夢くんを鍛えようと、「父親代わり」を自任する丹羽が特訓を始めたが、そのキツさに歩夢くんが泣き出すことも。彼が嫌がる行為だと分かると、相撲は“歩夢くんを一方的に痛めつける体罰”を指すようになっていった。具体的には、足を掛けて相手を後方に投げ倒す、柔道の大外刈りのような危険な技だった。