「(日本語)もしもし!(以下、中国語)核汚染水を海に流すのですか!?」

 地図アプリを使って適当な店を見つけて電話をかけ、言うだけ言って電話を切る中国人の若者の動画が話題になっています。

スマホで日本に“迷惑電話”をかける中国人の若者(中国のSNSより)

 また、福島県会津若松市から取り寄せた材料を使用しているラーメン店に“迷惑電話”をかけた中国・四川省の23歳無職の男性は、ニュース番組で「なんでラーメン屋に電話かけた?」という問いに対し、「核汚染水を使ってラーメンを作って欲しくて」と答えていました。

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 ほかにも、「事件です! 今新宿にいますけども、なんで(居酒屋は)中国人に対して『当店の食材は福島産です』と書いているのですか!?」と110番通報し、“バズ狙い”をする中国人インフルエンサーの動画も、SNSを騒がせています。

中国のSNSには、「日本滅亡」の入れ墨を入れて“バズ狙い”をする若者の動画も(中国のSNSより)

電凸、投石、店舗破壊…過激な行動の中心は?

「日本料理店を中華料理屋に変える!」と自ら開いた日本料理店の内装を壊す中国・貴州の若い中国人オーナーなど、福島第一原発のALPS処理水(福島第一原子力発電所で発生した放射性物質を含む水を浄化した処理水)の放出に抗議して過激な行動を取る中国人が増えています。中国在住、日本在住、無職から経営者まで、共通しているのは若い人という点です。

「日本料理を中華料理屋に変える!」と自ら開いた日本料理店の内装を壊す中国・貴州の若い中国人オーナー(中国のSNSより)

 2012年以来、11年ぶりに反日の雰囲気が中国を駆け巡っています。中国のネットメディアや、「微博(Weibo)」「微信(WeChat)」「抖音(中国向けTikTok)」といったSNSで処理水の海洋放出に抗議する声や悲しむ声が目立っています。現地では、中国から日本への抗議の電凸(電話突撃)だけでなく、日本人学校への卵の投げ込み・投石まで起きています。在中国日本大使館や日本総領事館は、在留邦人に対して、抗議や嫌がらせに十分に注意するよう促しています。

 もちろん現地中国人の誰もがそういった行動をしているわけではありません。アクションを起こしているのは、一部の若い人ばかりです。地域によって多少の差はありますが、多くの日本料理店で利用客が食事を楽しんでいることも報告されています。

 とはいえ、中国メディアやSNSでは、処理水放出に反対する中国政府の意見に同調するような発信が続いています。多くの現地中国人の間では「日本は有害な海洋放出をしている」という前提を共有した上で、「排出を仕方ないと思うか否か」「日本に抗議するか否か」を議論するという状況になっています。