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 今回のW杯は8月25日に開幕したのだが、基本的にNBAの選手は代表チームの活動に参加できる日数に上限が設けられていることもあり、多くの国が大会のおよそ1カ月前の7月末にW杯に向けた活動をスタートさせた。

他国を圧倒する練習量とトレーニング

 日本は、違った。若手選手はW杯開幕のおよそ2カ月半前から選考合宿をスタート。そこで選考を勝ち抜いた若手選手たちと、NBAプレーヤーである渡邊を除いた選手が合流し、6月26日に本格的な活動を始めたのだ。他国よりも1カ月から1カ月半も長くトレーニングを積んできた。

 ホーバスHCはそこに胸を張る。

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「日本より相手チームは大きいし、強い。だから、良いチームを作りたいんだったら、練習するしかないんです! それをすることで、みんなの自信が少しずつ上がっていった」

 次に、その「2、世界に通用するスピード」 について。

 現在の日本代表には167cmの富樫勇樹(キャプテン)と、172cmの河村勇輝という小柄な選手が2人もメンバーに入っている。彼らは司令塔の役割を果たすPG(ポイントガード)で、2人のうちのどちらかが大半の時間でコートに立ち、チームの攻撃をけん引する。

 スモールガードの一翼を担う富樫は、自らの身長をこう評している。

「『小さい』のではなくて、『小さすぎるんです』」

「自分の身長は、世界的に見たら『小さい』のではなくて、『小さすぎる』んです」

©FIBA

 実は背の低い選手が重宝される日本の現状は、世界のトレンドとは逆行している。近年はトレーニングなどの発達により、大きくて、俊敏に動ける選手が増えた。その結果、選手の大型化が進んでいる。

 実際、日本も以前は大型化にかじを切ろうとしていた。2021年の東京五輪で日本代表を指揮したアルゼンチン人の指揮官もそうで、あの大会の初戦では日本の歴史上初めてスタメンの平均身長が2mを超えた(結果は3戦全敗)。

 世界のトレンドに反して、日本が背の低い選手たちを司令塔と呼ばれるPGのポジションに配したのには理由がある。