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北朝鮮の驚くべき発言「拉致問題についても、虚心坦懐に話す用意がある」《2013年飯島勲極秘訪朝》7時間全記録初公開

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粘り強い交渉の結果、日朝政府間協議の再開という成果を得る

〈共和国から見ると、まずは日本が過去を清算すべきであると見えるが、日本は拉致問題が解決されるべきであると考えている。(中略)一方で、共和国では、横田めぐみは死亡したと言っているのに、日本側では生きていると信じて、必ず返せと言ってきている〉(宋日昊大使)

宋日昊氏 ©時事通信社

 双方とも一歩もひかず、鍔ぜり合いのようなやりとりが続いた。だが、交渉を重ねるうちに、双方が両国トップの決断に一筋の光明を見出していった模様が記録からは読み取れる。

〈国家指導者として、安倍総理が政治的決断を行えば、それは膠着状態の突破口になる。また日本の平和的な姿を示す契機になるのではないか。飯島先生は、総理特使としてこられたのでもあり、私の申し上げたことを正確に総理に伝達していただきたい〉(金永南委員長)

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金永南氏と会談する飯島氏(左) ©時事通信社

 そして、粘り強い交渉の結果、日朝政府間協議の再開という成果を得ることができた。

なぜ飯島氏は10年間秘密にしていた交渉記録をいま明かしたのか

〈飯島先生のなさったお話は、100%とは言えないかもしれないが、相当程度は理解できたと思う。そうしたことを踏まえ、共和国としては、この場で、日朝政府間協議を行う用意があることを正式に表明したい。(中略)我々は、関係改善の助けになり、両国関係を少しでも前進させるという意志から、拉致問題についても、虚心坦懐に話す用意がある〉(宋日昊大使)

 その後に数度の協議が開かれたものの、2016年に北朝鮮がミサイル発射実験を敢行したことなどから、日朝交渉は暗礁に乗り上げてしまう。

 なぜ飯島氏は10年もの間、一切口外しなかった秘密交渉記録を、いま公表することにしたのか。交渉記録と同時掲載される飯島氏のインタビュー「次なる交渉のモノサシにしてほしい」で、その覚悟と決意を明らかにしている。

「横田めぐみさん奪還交渉記録」全文は、9月8日発売の「文藝春秋」2023年10月号と、「文藝春秋 電子版」(9月7日公開)に掲載されている。

北朝鮮の驚くべき発言「拉致問題についても、虚心坦懐に話す用意がある」《2013年飯島勲極秘訪朝》7時間全記録初公開

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