おかもと 子どもが異性の場合、7歳以上は混浴禁止のため大浴場に一緒に入れません。かといって、家族風呂を備えている旅館は少ないし、そもそも部屋に温泉がついてる部屋は値段が高いから、子どもと入浴しなければいけないシンママは大変だよね、と言いたくてあの発言をしました。
もちろん、異性との混浴は7歳までというルールは知っていたので、露天風呂付きの部屋を予約していましたが、息子は、広い大浴場に入れると思って楽しみにしていたんです。だから、息子になぜ大浴場に入れないのかを理解させるために、改めて温泉のルールを説明し、息子が「本当に?」と言うので、旅館側に確認したりしました。
シンママの中には金銭的に大変な人が多くいるので、こういう問題があるんだよってことをみんなに知ってほしかったんです。
――心無い批判も多い印象でした。
おかもと 「だったら離婚するな」という声が結構ありましたが、その言葉はやめてほしいですね。シングルになることを選んだ人は、不安と責任を背負ってその選択をした人が少なくありません。一方で、離婚して救われた人もいます。
ただ、私の説明不足の点もあったので、それで嫌な気持ちにさせてしまった方々には申し訳ないと思っています。
今は、精神的につらい人をちょっとでも楽にさせたい
――今は、ご自身の経験をオープンにして講演などをされています。
おかもと いろいろラッキーな経験をさせてもらえたと思っています。特に入院してわかったのは、自分はちょっと真面目すぎるところがあるということ。周りの患者さんをみても頑張り過ぎてしまう人が多かったです。
私、テレビで何もできなかった時とかスベッた時は、ギャラ泥棒みたいに感じてしまって、楽屋のお弁当にも手をつけられなかったんです。
――そんな芸人さん、あまりいないのでは……。
おかもと もちろん全然食べていいんですけど、なんか罪悪感を感じてしまうんです。私はお弁当をもらえる価値ないなと思ってしまって。繊細すぎるというか、気にしいなんですね。そういう自分を、入院したことで改めて発見できました。
だから今は、精神的につらい人をちょっとでも楽にさせたいというのが自分のテーマで。死にたいと思うような気持ちを抱える人の気持ちがわかるから、その人たちの役に立ちたいと思ってるんです。そのためにメンタル心理カウンセラーの資格も取ったので、自分の経験がいろんな人の役に立ったら嬉しいですね。
写真=佐藤亘/文藝春秋