内容証明には、ツトムくんを含む加害生徒3人がAくんに対して、足を踏む、殴る、蹴る、砂を投げるなどの暴行をほぼ毎日続けたという主張が書かれていた。Aくんは通院を余儀なくされ、強いストレスを感じているとも書かれていた。
「内容証明を受け取って驚きました。ツトムに聞いても、『1度だけ肩パンしたことはあるけど、蹴ったり砂を投げたりしたことはない』と言います。しかしそれを伝えても話は平行線でした。ただ2018年からAくん側がツトムたち3人を訴えて始まった裁判は和解になり、『ツトムはAくんに肩パンチをしたことについては謝罪するが、継続的な暴行には全く関与していないこと』が認められたんです」(同前)
「やっていないいじめまでツトムのせいにされてはたまりません」
一体なぜこんなすれ違いが起きたのだろうか。ツトムくんの母親は、学校の対応が最初からおかしかったと主張する。
「Aくんの日記には、いじめた生徒の名前は書いてなかったそうです。もちろんツトムのことも書いていません。そして、学校側の説明が、毎回違うんです。『Aくんが日記に書いたいじめの内容を読み上げたら加害者3人が名乗り出た』ということもあれば、Aくんがツトムの名前を言ったということもあった。結局、まともな事実認定もしないでツトムがいじめの加害者だと決めつけたんです。
ツトム自身もAくんに肩パンチをしたことは反省していました。確かにそれは良くないことなので親の私も謝罪しましたし、ツトムにも謝らせました。でも、やっていないいじめまでツトムのせいにされてはたまりません」
2018年9月には今度はツトムくんと保護者が新居浜市に対して、サッカー部の顧問の言動で名誉を毀損され、精神的苦痛を受けたとして裁判を起こした。
2022年3月に成立した和解では「ツトムくんが被害生徒に対して肩パンチだけをしたこと」「ツトムくんが肩パンチ以外のいじめをしたかのような印象を周囲に与えかねない状況が生じたこと」「その精神的な苦痛によって訴えを提起するに至ったこと」などについて学校側が真摯に受け止めるように求めている。つまり、ツトムくんのいじめ行為は事実認定されなかったことになる。
この裁判の中で、ツトムくん本人が弁護士に伝えたメモがある。
<以前に、顧問のボールが被害生徒に当たったことがあるので、危ないと思ったので、どいてもらいました。なぐる、けるという暴行を行ったかを聞かれたことはありません。そして、していません。お友達として肩パンチなどをしてすみませんでした、と言いました>