<学校はぜったいにたすけてくれないんだ>
<教育委員会は、大ウソつき。いじめた人を守ってウソばかりつかせる>
2019年9月8日未明、埼玉県川口市に住む特別支援学校1年の男子生徒・小松田辰乃輔さん(享年15)が自殺した。いじめ防止対策推進法にもとづく、「川口市いじめ問題調査委員会」での調査中のことだった。
市教委は今年の6月23日に報告書を公表し、小学校から中学校にかけていじめがあったことを明らかにしている。
中学校時代には辰乃輔さんと母親、そして加害生徒の親族を集めた「謝罪の会」が開かれたが、その場で加害者側の祖母と父親は逆に辰乃輔さんを「自分の意思が弱いのよね」「その足になったのは、君が飛び降りたから」と糾弾したことも明らかになっている。調査委も後にこの事態を「二次被害」と認めた。
亡くなった辰乃輔さんのノートには、こうした出来事による精神的苦痛が繰り返し書かれている。(全2回の1回目/続きを読む)
「弟が思い出すので別の花火大会に…」
辰乃輔さんの死から4年が経とうとする今年の夏も、生前に辰乃輔さんと一緒に行った熱海の海を母親は訪れていた。
「辰乃輔のことで常に思い出すのは海です。辰乃輔は海が大好きでした。夏になると『海に行きたい』とよく言っていました。ブイの近くで、浮き輪でぷかぷか浮いている姿が今でも頭から離れません。海は唯一、無になれる時間だったのか。誰も自分を知らない地域だからいいと言っていました。
本人の希望で、花火大会には毎年行ったんです。中学2年の時にマンションの3階から飛び降りて入院した時も、病院から外出許可をもらって花火大会に行きました。ただ、辰乃輔が亡くなってからは、弟が思い出すので、別の地域の花火大会に行っています」
辰乃輔さんは、小学校と中学校のときにいじめを受け、何度も自殺未遂を繰り返した。病院に搬送されていないものを含めると自殺未遂は6回あったというが、公表された報告書で認定されたのはそのうちの4回だ。