1ページ目から読む
3/3ページ目

 ツトムくん本人に今の気持ちを聞くと、「顧問が僕の名前を出してしまって、後にひけなくなったのやろうと思います。1度肩を叩いてしまったことは申し訳なかったと今でも思っています。Aくんから僕の名前が出たかどうか、本当のところを知りたいです」と話した。

「息子は自分がやっていないいじめ行為まで責められて、傷ついたと思います。学校にはなんとか行けていましたが、周囲の目が気になっていたはずです。親ですから子供のことを守ってあげたいけれど、学校側がこんな様子では信頼できるはずがありません。学校側と何度も話し合いましたが、一言の謝罪もありませんでした。犯人扱いをしてしまって申し訳ないという意識はないのでしょうか」(ツトムくんの母親)

写真はイメージです ©AFLO

Aくんが自殺未遂を起こし、半年のあいだ不登校に

 問題の解決が長引いた影響もあったのか、Aくんは2017年10月から不登校になり、11月には学年主任の教員との間で起きた修学旅行についてのトラブルをきっかけに自殺未遂事件に及んでいる。一命は取りとめたものの、翌年の4月までほぼ登校することができない状態になってしまっていた。

ADVERTISEMENT

 いじめの訴えに端を発した出来事が中学生の自殺未遂・不登校にまで至ってしまった事件だが、学校や新居浜市の教育委員会は「いじめ防止対策推進法」による「重大事態」の認定をせず、第三者委員会も設置されていない。このずさんな対応は読売新聞やNHKに報じられて大きな話題になった。ツトムくんの母親と連絡をとっていた中で、この報道がツトムくんの件だということを教えてもらった。

 それを受けて新居浜市の高橋良光教育長に取材を申し込むと「報道の内容(ずさんな対応)自体は事実だが、事案を公表していないので、それがAくんが被害にあったケースかどうかはお答えできない」「(Aくんのケースについては)6年前のことですから時間をかけて精査していきたい。いろいろな対応をしていくことが必要」と回答した。

 いじめ冤罪のケースでは、加害者と疑われた生徒が自殺に追い込まれたケースもある。調査をすると決まったら、いじめ被害の内容だけでなく、いじめ冤罪という不適切な指導もきちんと調査すべきだ。