日本人の平均労働時間は週37.8時間。では、この数字は多いのか、少ないのか? ここでは「労働時間が長い国」「短い国」をランキング形式で紹介。

 世界情勢にまつわるさまざまなコラムで人気を博す伊藤智章氏の新刊『ランキングマップ世界地理 ――統計を地図にしてみよう』(筑摩書房)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)

日本人が知らない「世界でも特に労働時間が長い国」とは? ランキング形式でお届けする。写真はイメージ ©getty

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世界で最も「労働時間が長い国」とは?

 国際労働機関(ILO)は、年次報告の中で世界各国の労働条件に関する統計を公開しています。国によって労働時間の換算の方法が違う上、産業形態の違いや雇用労働に従事している人自体が少ない国もあるため、単純な比較はできませんが、労働時間が長い国短い国、長時間労働に従事する人の割合の高い国の傾向を知ることができます。

 図表1-1は、週あたりの労働時間を表した地図と上位11カ国を示しています。週あたり45時間を超える国は24カ国あり、このうち13カ国がアジア、8カ国がアフリカでした。軽工業やプランテーション労働、鉱山の採掘建設業に従事する人が多い国では労働時間が長くなる傾向にあるようです。

 
©伊藤智章

 1位のアラブ首長国連邦では、高層ビルや石油化学プラントなどの建設に、多くの外国人出稼ぎ労働者が関わっています。過酷な労働環境で、低賃金が故に長時間働かざるを得ない状況にあるようです。