TBS系「日曜劇場」で放送中のドラマ『VIVANT』は、壮大なスケールと劇中あちこちに張り巡らされた伏線から、おおいに話題を呼びながら、いよいよ今度の日曜(9月17日)に最終回を迎える。原作・演出を担当した福澤克雄監督は、これまでに、本作と同じく堺雅人主演の『半沢直樹』など数々のヒットドラマを手がけてきた。
福澤監督にとって『VIVANT』は、来年1月に迎えるTBSの定年前最後の作品とあってか、堺をはじめ阿部寛、役所広司、二宮和也などこれまでの監督作品で主演を務めてきた俳優たちが集結した。ただ、ふと気づいたのだが、ここには福澤の愛弟子とも言うべき、あの俳優が入っていない。それは、きょう9月14日に38歳の誕生日を迎えた上戸彩だ。
「『金八先生』で直を作ってくださった」
上戸は1997年に「全日本国民的美少女コンテスト」で11歳にして審査員特別賞を受賞したのを機に芸能界入りし、デビュー5年目の2001年、ドラマ『3年B組金八先生』の第6シリーズで性別違和(放送当時は「性同一性障害」と呼ばれていた)を持つ中学生・鶴本直を演じ、一躍ブレイクした。このときの『金八先生』のチーフディレクターが福澤だった。上戸に言わせると福澤は《『金八先生』で直を作ってくださったと言っても過言ではない》(『Hanako』2021年2月号)、まさに恩師である。
福澤の作品ではその後も『さとうきび畑の唄』(2003年)や『半沢直樹』(2013年・2020年)といった作品に出演している。ちなみに福澤は『金八先生』のあとも上戸を当時の役名の「直」と呼び、これに対し彼女は監督を「ジャイさん」とニックネームで呼ぶ。
『半沢直樹』で上戸は、主人公の妻・半沢花を演じた。彼女は福澤からそのオファーを何人かで食事をしたときに受けたという。ただ最初は、銀行員の妻を演じる自分がイメージできず、断ってしまう。それでも福澤に「茶髪で銀行員の奥さんぽくない役で、それを直に演じてほしい。そのまんまでいい」と言われ、上戸も監督とはまた仕事をしたかったので引き受けたのだった。
積年の信頼関係
ふたを開けてみれば、『半沢直樹』は最終回の視聴率が40%を超える大ヒットとなり、上戸の演じた妻も、日頃から夫にはっきり物を言い、彼がピンチのときには頼もしさを発揮して反響を呼んだ。この役に起用してもらったことについて、のちに彼女は次のように語っている。