自民党の選挙対策委員長に就任した小渕優子氏(49)が、父・小渕恵三元首相の死後、恵三氏の資金管理団体から、複数の政治団体を迂回させる形で、約1億5千万円の政治資金を受け取っていたことが、「週刊文春」の取材でわかった。政治団体間の資金移動は非課税で、世襲政治家の特権との批判も根強い。小渕氏の説明責任を求める声が高まりそうだ。

 小渕氏は2008年9月、麻生政権で戦後最年少の34歳で男女共同参画・少子化担当相として初入閣。2014年9月には、第2次安倍政権で重要閣僚とされる経産相に就任した。ところが、その直後の2014年10月、小渕氏の関係政治団体が開催した観劇会を巡り、政治資金収支報告書に不適切な記載をしていた問題が発覚。収支報告書への虚偽記載額は3億円を超え、2015年10月、小渕氏の元秘書2人には有罪判決が下された。

“ドリル優子”と呼ばれる娘 ©時事通信社

ファミリー企業への政治資金問題は「法に反することはない」と主張したが…

「捜査の過程では、ドリルで壊された会計記録が入ったパソコンのハードディスクが見つかり、証拠隠滅を図った疑いも指摘されました。以降、小渕氏が要職に起用されることはなかった。しかし、今回、岸田首相は『完全に禊が済んだ』として党四役の一角、選対委員長に起用したのです。小渕氏は選対委員長の就任会見で涙ぐみながら『忘れることのない傷』と語りました」(政治部デスク)

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 そうした中、「週刊文春」9月14日発売号では、小渕氏が、政治資金規正法違反事件が発覚した翌2015年以降も、政治資金を自身のファミリー企業に約1400万円、さらに有罪判決を受けた元秘書が取締役の会社に約1200万円還流させていた問題を報道。小渕氏は「法に反することはない」などと主張していた。

 だが今回、新たに発覚したのは、父・恵三氏の資金管理団体から複数の政治団体を迂回する形で、巨額の政治資金を受け取っていた問題だ。

“平成おじさん”と呼ばれた父 ©文藝春秋

 父・恵三氏が政治活動の拠点に置いていたのは、資金管理団体「未来産業研究会」だった。その恵三氏は2000年5月に脳梗塞で急逝。次女の小渕氏は翌6月の衆院選で、父の後継者として初当選を果たした。両者の政治団体に動きがあったのは、2000年11月のことだ。