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複数の政治団体を迂回させて政治資金を非課税で受け取っていた

 まず、小渕氏は11月2日、恵三氏の資金管理団体と全く同名の資金管理団体「未来産業研究会」を設立。その後、恵三氏の「未来産業研究会」は、「恵友会」など2つの政治団体に1億6000万円を寄附するなどし、11月15日に解散した。さらに、「恵友会」など2つの政治団体は2001年までに計1億2000万円を、小渕氏の「未来産業研究会」に寄附。さらに、「恵友会」は2008年から2010年にかけて、計2900万円を小渕氏の「未来産業研究会」に寄附している。

 これらを総合すると、小渕氏の「未来産業研究会」は、恵三氏の死後、「恵友会」など複数の政治団体を迂回させる形で、計1億4900万円の政治資金を受け取っていたことになるのだ。

 政治資金問題に詳しい日本大学の岩井奉信名誉教授(政治学)が指摘する。

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「一般人であれば、相続には相応の税率(例えば、受取額が1億円超から2億円以下は40%)がかかります。ところが政治家の場合、政治団体を経由すれば、実質的に非課税で多額の資金を相続できる。相続税や贈与税は一切かかりません。こうした資金移動は、税務署の監視も行き届かない“聖域”になっています」

「未来産業研究会」の収支報告書

事務所の見解「個人の相続財産とは異なる」

 小渕氏の事務所に事実確認を求めたところ、以下のように回答した。

「政治団体の政治資金は、当該政治団体の政治活動の原資であり、個人の相続財産とは異なりますので、ご指摘は当たらないと考えます」

 ファミリー企業や有罪判決を受けた元秘書に多額の政治資金が還流していた問題に加え、新たに浮かび上がったのは、父・恵三氏から巨額の政治資金を事実上、非課税で相続していた問題だ。岸田文雄首相と翔太郎元秘書官の例を筆頭に、世襲議員らが享受する特権には国民から厳しい視線が注がれているだけに、小渕氏の対応が注目される。

小渕氏ら党の最高幹部 ©時事通信社

 9月20日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および9月21日(木)発売の「週刊文春」では、恵三氏の政治団体が“マネロン団体”と指摘されていた問題や、小渕氏が選挙運動費用収支報告書に”空白領収証”を添付していた問題など、小渕氏の政治資金や選挙資金を巡る問題を詳しく報じている。さらに、加藤鮎子こども担当相、土屋品子復興相、自見英子地方創生相、上川陽子外相ら岸田首相が登用した女性閣僚の知られざる人物像やスキャンダルなどについても取り上げている。

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