文春オンライン
ヒット曲ゼロ、田舎の金沢に帰ろうとしていた時期も…「夢グループに所属したことで人生が変わった」美人歌手・保科有里の逆転人生

ヒット曲ゼロ、田舎の金沢に帰ろうとしていた時期も…「夢グループに所属したことで人生が変わった」美人歌手・保科有里の逆転人生

『愛人!? 困っちゃう・・・』 #1

2023/10/01
note

 それで握手して、「よろしくお願いします」って言っちゃったんです。そしたら社長、「はい」って答えてくださって。他にも2人、候補だった歌手がいたのに、塩入さんに、「はいって言っちゃったから、彼女を選びます。他の人とは会わなくていいです」と言われたそうです。順番が違ってたらと思うとぞっとします。これが「運」と「縁」なんですね。

 だって、海外の貿易の仕事でよくアジアに行かれて、フィリピンなどで明るく賑やかなステージばかり体験されていた社長には、私の歌は「やる気があるのかなぁ…」と魅力は感じなかったそうなんです。お酒を飲んだから帰ろうとしてた時に私と握手してからの「はい!」。

 出会いはそんな感じでした。

ADVERTISEMENT

社長に甘えるなんて、一度だってなかった!

 なぜ私が夢グループに入れたのか? その頃、すでに会社は狩人さんや三善英史さんが所属していて芸能プロダクションの活動は始めていて、男性ばかりなので女性歌手も入れておきたいくらいのものだったんだと思います。最初の頃は「歌手」として活動することは少なく、自分なりにキャンペーンをしていました。

 夢グループ自体、所属の歌手の方はいましたが、オフィスに行ったら、ポスターも何も貼ってない。商品を積んだ段ボールがいっぱいあったりして、完全に通販会社。それはそうですよね、通販業務がメインの会社なんですから。

 社長も、入ってすぐに私が新曲を出したので、発表会だけはお祝いとして、赤字覚悟で、六本木の、200人は入れる会場でディナーライブを開いてくれました。あとは、特に力を入れてくださるということはしばらくなかったです。

 名古屋で開いた私のコンサートでは集客が心配だったので、開演前に、一般の方にもステージに上がって頂き、私の曲をカラオケで歌うコーナーを作ったんです。15人くらいの方に歌って頂くかわりに、一人5枚ずつチケットを買ってもらうって。この私のアイデアを、社長は、「それ、おもしろいね」って言っただけ。手助けはほとんどしてくれなかったですね。

コンサート出演中の保科有里さん(画像:「夢グループ」提供)

 私も入ったばかりでお願い事はしづらかったのもあるけど、そもそも私は、人に甘えたりするのが苦手な「甘えベタ」なんです。甘えたことがないから、CMで「安くして~!」なんて甘えた声を出すと棒読みになっちゃうし、見ている皆さんに、「わざとらしい」って思われちゃったりする。

 しかも、これまでの人生の中で、値切るということは恥ずかしくてできませんでしたから。つまりテレビのCMでは、本来の私とまったく逆のことをやっているわけですね。