これまで所属していた事務所では、マネージャーの方に付いて頂いたこともありましたよ。でも、なぜかどの方もみんな厳しくて、「自分でやれることは自分でしなさい」と言われてきました。
だからデビューしてからずっと、ライブやコンサートを開くのでも、集客からチケット代の管理、お客様の席決めもすべて、私がやらざるを得ませんでした。たとえば前の方のお席が好きなお客様には前もって電話して、「今回は少し後方になってしまいました。申し訳ありません」って謝っておいたり。
他の方に頼んでも、謝るのは私ですから、自分でやって自分で責任を持とうって思っていました。
夢グループに入ってすぐは、社長とお話するチャンスもほとんどなかった。「仕事ください」なんて口が裂けても言えませんし、社長もとても忙しくて、私の話なんか聞いてくれるヒマ、なかったですもん。
「大丈夫、大丈夫」って社長は言うけど…
2010年くらいからかな。社長がコンサートに力を入れ始めて、どんどんスターの方が夢グループに入ってくるようになったんです。それまで狩人さんと三善英史さん、私くらいだったのが、チェリッシュさん、千昌夫さん、それに松方弘樹さんや小林旭さんのような大御所の方々が「夢グループ所属」になりました。
マイクの中にカラオケが内蔵されたがヒットして、夢グループは音楽関連の会社、というイメージが強くなっていた頃でした。だからミュージシャンの方が増えてくるのも、あまり違和感はなかったかな。
社長はもうイケイケです。もともと、若い頃には、歌手を夢見てテレビの『スター誕生!』に応募したくらいの歌好き。かつての憧れのスターたちを集めてコンサートをやるのが楽しくて仕方ない。またそれを通販事業の方にも結び付けていくわけです。
それでようやく私に来た、社長お声がかりの仕事が「歌」ではなくて、「CM」でした。しかも、最初は、あの松方弘樹さんと共演でパジャマやピンクのブルゾンなどのシルク製品を売るという。
緊張で固まりました。無名の歌手があんな大スターの方といきなりご一緒させて頂いて。別に私が特別、社長に目をかけられていたとかでは、ぜんぜんなかったんですよ。なのにいきなりですから。私で大丈夫なのかしらと不安しかありませんでした。