松本 『明蘭』は妾の子として生まれ、いじめられて育った女性が大商家に嫁いで成り上がっていく話なんだけど、後宮ものだとそういうドラマっていっぱいあるじゃない。でも、それの町屋版だから新鮮だった。
で、『楚喬伝』は、辺境の国の話だけど、それもやっぱりいじめられながら成り上がる。中国は「いじめられながら」という話が多いんだ。だから全部『サザエさん』なの(笑)。時代が違うだけで似たような話ばっかりだから、わかってないと飽きちゃう。わかってて観ると、脇に誰がいるのかが非常に重要になってくるから面白いんだけど。
『瓔珞』と『如懿伝』を同時に観ると面白い
――後宮ものといえば、『瓔珞〈エイラク〉~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~』はどうですか?
松本 面白かった。清王朝の乾隆帝の時代、女官から皇帝に寵愛される立場へと登り詰める女傑の話で。瓔珞を演じたウー・ジンイェンが素晴らしかった。どことなく松雪泰子に似たクールビューティだよね。あと、同じ皇帝で別の人の立場で描かれるドラマもあるじゃない。『如懿伝~紫禁城に散る宿命の王妃』。
――乾隆帝の側室・如懿妃を主役にした話。ジョウ・シュンが演じていました。
松本 2つを同時に観るとめちゃくちゃ面白い。仇同士、別視点で描かれるから。
――こんがらがりそう(笑)。
松本 そして、『瓔珞』のウー・ジンイェンは『コウラン伝 始皇帝の母』でも主役の趙姫を演じていて。これも良かった。彼女も踊り子から皇帝の母へと登り詰めた波瀾万丈の人物。漫画の『キングダム』では、ものすごい悪女として描かれているんだけどさ。
日本の弥生時代に中国では高速道路ができる
――松本さんは、中国史にも精通してるんですね。
松本 ドラマを観るうちに憶えちゃった(笑)。ただ、史実といわれるものが本当かどうかは定かじゃない。始皇帝の話なんて紀元前で、キリストも生まれてない時代。だから、そういう人がいたのは事実だけど、人物像は後世の人々による創作も多分にあると思う。
――その頃の日本は弥生時代ですもんね。
松本 そうだよ。そんな時代に、始皇帝は高速道路を作ったんだ。秦直道。山や草原、砂漠を通る幹線道路。
――さすが四千年の歴史を誇る国です。