ツイッター社を昨年10月末に買収するなり、苛烈なリストラを敢行したイーロン・マスク。買収2週間後には、さらにリストラの第2ラウンドに臨むことを決意する。『イーロン・マスク』(ウォルター・アイザックソン著 井口耕二訳)から、精鋭社員のみを残すマスク流“リストラ極意エピソード”を紹介する。
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ツイッター買収直後にリストラの第1ラウンドを敢行し、社員の人数を約半分にしたイーロン・マスク。だが同時期、大炎上や広告主の離脱も経験していた。そんな辛く大変な2週間が終わる頃、マスクはこう言った。
「並外れて優れていてやる気もすごくある人がごく少人数のほうが、かなり優れていてやる気はそこそこの人がたくさんよりいい仕事ができると、私は信じていますから」
とはいえ、社員たちに本気で仕事をしてもらいたければ、マスク自身がどれほど本気なのかを示す必要がある。
実際のところマスクは、仕事場に泊まり込みで猛烈に働いてきた。1995年には起業したZip2事務所の床で寝た。2017年にはテスラがネバダ州に作ったバッテリー工場の屋上で寝た。2018年にはフリーモント組立工場の机の下で寝た。
どうしてもそこで寝なければならなかったわけではない。波乱が大好きだから、緊急事態の雰囲気が大好きで、部下を戦いに駆りたてる将軍になるのが大好きだからそうしたのだ。
今度はツイッター本社で寝る番だ。
技術者の9割をリストラすると掲げたマスク
11月13日の日曜夜遅く、ツイッター社に直行したマスクは、7階図書室のカウチを接収した。おしゃれな福利厚生で有名だった“ホワイト企業”の同社にはシャワーにキッチン、ゲームルームまであり、至れり尽くせりだった。マスクたちは、ぜいたくな暮らしができそうだと笑い合った。これからリストラの第2ラウンドを行うのだ。
10月末の買収時には2500人いたツイッターの技術者たち。だが、彼らがコードを書くスピードに不満を持ったマスクは、リストラ第1ラウンドの段階で技術者の9割をリストラすることを掲げていた。