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 今回のリストラ第2ラウンドでも、「優秀な技術者など300人もいないだろう」と宣言。ぜい肉はそぎ落として、筋肉だけにするのだ、と。そんな少人数で、来たるべきワールドカップやクリスマスのショッピングシーズンを乗り切れるのか、という意見もあった。しかし、マスクはやると決めていた。

©時事通信社

 残すべきは、以下の3つの条件を満たす技術者だけだ。

・優秀であること
・信頼が置けること
・やる気に満ちていること

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 リストラの第1ラウンドは、優秀でない雑草を抜くものだった。

 リストラの第2ラウンドでは、信頼が置けない者を洗い出してクビにするつもりだ。

「不満を抱いていそうな者や、なにかしでかすかもしれない者を洗い出せと言われました」と腹心の部下は証言する。

 信頼が置けるかどうかを調べるため、腹心の部下たちは、「イーロン」などのキーワードで公開のスラックチャンネルを検索した。すると「仕返ししてやる」などマスクの神経を逆なでするものが見つかった。

イーロン・マスク氏 ©時事通信社

 また、データセンター全体をシャットダウンするコマンドに「だれか、これを走らせてくれないかなぁ」と添えて投稿した人物もいた。もちろん、すぐさまアクセス権を止め、クビにした。11月14日の月曜日の真夜中過ぎ、40件近いコメントの洗い出しが終わり、その全員がクビになった。

「自分は本気だと宣言するやつだけに残ってもらう」

 選別ポイントの3つめは、「やる気に満ちていること」だ。しかし、腹心の部下たちは、悩んでいた。やる気の有無をどう判定すればいいのか。そんな時、社員によるスラックの投稿が目に飛び込んできた。

「退職金をもらえれば辞めるのになぁ」

「そうか、残るかどうか、自分で決めてもらえばいいのだ」と気づき、マスクに進言。気に入ってもらえたので、ボタンひとつのシンプルなフォームを作成した。給与3カ月分の退職金をもらって円満退職したい社員はこれをクリックすればいい。だが、その2時間後、マスクがにこにこして現れてこう言った。

「いいこと、思いついたよ。逆をやろう。(中略)自分は本気だと宣言するやつだけに残ってもらう」