1ページ目から読む
3/3ページ目

「『写真の“ぼくちゃん”ですか?』とたくさんの方に声をかけてもらいました。写真よりもずいぶん年を取った僕でも『面影がある』って皆さんおっしゃっていましたね。『思っていた以上にすごかった』とたくさんの方に言っていただいて、感動しました」

父に「よかったね」と言ってあげたい

 実は、田中さんはこれまでほとんど父のアルバムや日記をしっかり読んだことがなかった。よくよく見返す中で、当時の父の切ない本音を見つけた。

「『こんなに一生懸命アルバムを作ってるのに、兄は写真が嫌いだから寂しい』って書いてあるのを見つけて。そうか、そんな思いだったんか、と。家族は誰も見ることもないのに一生懸命こんなん作って……。それが、今こうして世に出て、みんなに賞賛してもらって。父のやってきた証がやっと認められて、よかったねと言ってあげたいですね」

ADVERTISEMENT

(写真:本人提供)

 父がアルバムに込めた、家族への思い。60年の時をこえてなお、見る人の心を温め続けている。