「グラウンド周辺施設の整備等のハード面、技術指導などのソフト面の両面から支援を受けています。うちは野球部を強化指定クラブにしている学校ではなく、あくまで数ある部活動の中の一つという扱い。野球部だけにお金を投下することはない。それゆえ、現役の部員やOBの自助努力でお金を集めなければ物事が進んで行かないんです。そういった意味で、日吉倶楽部の存在は大きい」
OB会による野球部への手厚いサポート
時に伝統校のOB会は、戦績が厳しくなると監督人事に口を出したり、選手の起用に口を挟んだり、やっかいな存在となりがちだが……。柳川氏が聞くと、上田前監督はこう述べた。
「日吉倶楽部の場合、『金は出すけど口も出す』ことも『金も出さないのに口は出す』こともない。ボールが足りないと言えば、部員のためにボールを寄付してくれるし、以前、バッティングマシーンも提供して貰ったこともありました。あくまで親睦団体ですが、部員が喜ぶことを常に考えてやってくれます」
塾高優勝に大きく寄与した、OB会による野球部への手厚いサポート。では実際、どのような思いでOBたちは動いているのか。
日吉倶楽部会長や2人の副会長へのインタビュー、推薦入試の基準の変遷と高偏差値高ならではの問題、塾高野球部の特殊な「学生コーチ」システムなどについても取材した「甲子園優勝の陰に日吉倶楽部あり」は、「文藝春秋」2023年11月号、および「文藝春秋 電子版」(10月9日公開)の特集「慶應義塾の人脈と金脈」に掲載されている。
甲子園優勝の陰に日吉倶楽部あり